こんにちはIT推進委員会です

こんにちは。ご無沙汰しております、2720 Japan O.K. ロータリーEクラブ IT推進委員会委員長の株式会社サークル・オブ・フレンズ 代表取締役 上田浩二です。

委員長とは名ばかりで、何も活動しておらず申し訳ございません。

委員会の名前によりITについて、自分のような真っ只中な業界にいるものも、そうではなく苦手といわれる方々にとっても、実は生活の中まで浸透しているものです。
そういった事を発信し、推進していく委員会にもかかわらず、できていなくて済みません。

前回2021年10月のコロナ禍の中、発信した内容がDX(デジタル・トランス・フォーメーション)についてでした。

DXから読み解く過去・現在・未来
https://ok2720eclub.jp/it/it211025.html

世の中的に、『アフター・コロナ』感が漂っていき、完全なるコロナ前とは行かないまでも、人々も外に向けた動きが活発化されている状況も踏まえて、DXの検証と今後向かっていく未来についてお話ししたいと思います。年度初めのコラムとしてお楽しみください。



DX(デジタル・トランスフォーメーション)とは


そもそもDX(デジタル・トランス・フォーメーション)とはなんぞや?と前回のコラムでお話しはしたのですが、世界で最初にDX(デジタル・トランス・フォーメーション)という言葉を提唱したのは、当時スウェーデンのウメオ大学の教授であったエリック・ストルターマン氏で、『Information Technology and the Good Life』の論文(2004)2章の中で


”The digital transformation can be understood as the changes that digital technology caused or influences in all aspects of human life.”
“人々の生活のあらゆる側面に、デジタル技術が引き起こしたり、影響を与える変化のことである”

と記しています。つまりデジタルテクノロジーによって、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるという事というものを言っています。

日本以外でDXというものは、前回のコラムでも触れていますが、Xというのは強調というか限界を超えたという意図もあり、デジタルを活用して「劇的に変化させる」ということを強調しているため、その変化についてフォーカスされていますが、日本では補助金とかの政府の働きかけもあって、単にソフトなどの導入に終始しているように見えます。
補助金などを活用し、従来型の仕事のやり方が変わった部分があったかと思うのですが、それが劇的であったかどうか?疑問が残るものでもあります。


DX(デジタル・トランスフォーメーション)の現在


独立行政法人情報処理推進機構が今年出したDX白書2023によると

DX白書2023
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/dx-2023.html

コロナ禍で本来の目的ではないDXではあっても進んだと言われてる話の中で、現状どうなのかということを伝えてくれています。

まず、アメリカと日本ではどんな違いがあるかというと


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


若干増えたものの、まだまだアメリカに比べて割合も低く、取り組んでいないところも多い。

また総務省が発表した令和3年情報通信白書の第1部 『特集 デジタルで支える暮らしと経済』の中で

令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112420.html

取り組んでいる業種を見てみると、


令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 より出典

令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 より出典


令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 より出典

令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 より出典


当然、情報通信業が進んでいるとしても、取組が進んでいない業種として、「医療・福祉」(約9%)、「運輸業、郵便業」(約17%)、「宿泊業、飲食サービス業」(約16%)、「生活関連サービス業、娯楽業」(約18%)といったリアルなやり取りのサービス業あたりが挙げられています。

加えて、中小零細企業になればなるほど、そして地方に行けば行くほど進んでいない現状も見えてきています。


令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 より出典

令和3年情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済 より出典


取り組んだ企業の中で成果が得られたと感じている企業は、アメリカは圧倒的であるけども、日本に至っては22年度では上がっているけども6割にも届いていない現状です。


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


なぜこのような現状が生まれているのでしょうか??


どうしてこのような事態を招いているか?と言われると、経営層のこの分野における理解の浸透が図られておらず、予算についてもどのくらい投資したら良いのかも判断がついていない状況で、とりあえず補助金が出ているから何かやってみようかという感じなのかもしれません。


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


また、そのような事態であるため、人材不足も否めません。。。


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


前回お話ししたコラムの中で、このエントリーを紹介しました。


DXコンサルが絶対に言わない後ろめたい真実
https://note.com/naoto111/n/nebd8adf8e69e

ここでいわれてる、「トップの視座を上げよ」とは「異なるパラダイムを経営に内包せよ」だと言う事はとても大事だなと感じました。
2000年以前に生まれた企業にとっては、このような変化に適応していくのはなかなか大変なのだと思います。組織が大きければ大きいほど。そこでの「トップの視座を上げよ」という事だったのですが、現状なかなか厳しいものもあり、レガシーな成功体験があるとなかなか難しいなとご相談いただく企業の方とお話しする機会に感じていました。


リスキリングというワード


そんな中、『リスキリング』というワードが出てきました。

リスキリングとはどういうものでしょうか?

リスキリング(Re-skilling)とは、時代の変化に対応するため、業務を進める上で必要となる新たなスキルを習得すること。企業が主体となり、自社従業員の新たなスキル習得を促していくのが特徴です。

近年では、各企業においてDX推進の動きが進んでいることを受け、「DXに関連した必要なスキルを習得すること」という意味で用いられる機会が増えてきています。

経済産業省が発表した資料では、以下のように定義しています。


「新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させること」

経済産業省『リスキリングとは DX時代の人材戦略と世界の潮流』より出典

実際、先ほどの人材不足の現状から以下のような事を企業も考えているようです。


独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典

独立行政法人情報処理推進機構 DX白書2023 より出典


そのようなニーズもあり、厚生労働省も人材開発支援助成金という形で、企業のリスキリングを応援しています。

人材開発支援助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html


今までやり方を激変させたA.I. 『Chat GPT』の登場


そんな中、2022年暮れに登場したA.I. 『Chat GPT』は、さまざまな業界にとって激変を起こし、人々の働き方も大きく変えるものとして、現在も驚きと話題をもたらしています。

現在有料ながらバージョン4のChat GPT4が出ていますが、Chat GPTとは?とChat GPTに聞いてみたところ


ChatGPTは、OpenAIによって開発された大規模な言語モデルで、GPT-4アーキテクチャに基づいています。GPTは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、自然言語処理(NLP)タスクにおいて優れた性能を発揮することで知られています。ChatGPTは、会話の文脈を理解し、質問に答えたり、意見やアイデアを提案したり、さまざまなテーマについて対話する能力を持っています。

ただし、知識のカットオフは2021年9月までであり、それ以降の情報については不十分な場合があります。また、AIモデルであるため、常に正確な情報を提供できるわけではなく、時々誤りや曖昧な回答をすることがあります。

実際のChat GPTの画面

実際のChat GPTの画面


要はこのA.I.に質問形式で内容を投げかけると、解答形式で答えてくれ、解答もプログラムなどのソースコードなどもあったりして、実務の生産性向上になると活用している人が急増しています。

今までであれば、検索をかけて、出てきた結果から情報を見ていって、自分の欲しい回答を見つける作業が発生していたのですが、このA.I.であれば、会話形式で答えてくれるため、その時間を短縮できるし、単純作業であれば、指示の出し方で間違えずに実行してくれる良いアシスタントに早変わりします。

ホワイトカラーの9割の仕事がなくなるとも言われており、GAFAやコンサルティング企業大手のアクセンチュアでも大量のレイオフが行われているのは、このことが要因ではなくとも、一部は影響しているのではないかと思われます。

検索エンジンのGoogleはこのChat GPTの登場に、自社の収益モデルが脅かされる危機感から、焦って「Bard」というものを発表。Chat GPTを取り込んで自身の検索エンジン「Bing」に組み込んだマイクロソフトに対抗したものでしたが、結果は今の所うまくいっていないようです。

グーグルの「Bard」は遅れを取っている…GPT-4が正答率96%のワードパズルで全滅
https://www.businessinsider.jp/post-267379

ただ、Chat GPT自身も回答している通り、間違いも多く、ある程度の専門的視点を持っていないとデータとしては使えず、まだまだたたき台としての活用が中心的にはなりそうです。
それでも生産性向上には変わりありません。このChat GPTに仕事を奪われると思うのでなく、どう活用しようかという思考の元での使う側に回ることが必要かと思います。

今後、このChat GPTが顧客の行動変容に影響させるものを生み出す仕組みとして活用できるものになるか、追ってみていきたいと思います。

Introducing ChatGPT
https://openai.com/blog/chatgpt



企業にとってこれからどんな人材が適切なのか?


では、どんな人材が必要なのでしょうか?

今まで語られている人材は、あくまでも生産性向上のためのITスキルを持った人材で、企業の先にある顧客、つまりエンドユーザーの生活を激変させる体験を提供できるDXを設計できる人材ではありません。

データサイエンティスト+マーケターである松本健太郎さんは自身のTwitterで以下のような発言をしています。


「DXってITとかデジタル使って省力化・自動化する話でしょ?」と思っていたけど、全然違った。「今まで出来なかった顧客体験」を生み出す手段としてデジタルを使うことをDXと呼ぶんだな。そして、体験とはマーケティングの仕事である。実はDXとマーケティングって二親等ぐらいの親戚だった。

松本健太郎 @matsuken0716   2023年3月25日のツイートより
https://twitter.com/matsuken0716/status/1639442174491385859

「今まで出来なかった顧客体験」を生み出す手段としてデジタルを使うことを生み出すにはITの知識・スキルだけでなく、マーケティングの知識や実践・実績が必要と言っています。

ということは、マーケティングの知識・実績を持っている人はITのスキル向上を、ITの知識・スキルを持った人はマーケティングの知識や実績を積んでいくことが『DX人材』への近道となると。

どちらにしてもまずはロータリーに在籍している多くの経営者の方々が、今までお話しした内容を把握していただき、上記の助成金なども活用して、人材の教育を図り、事業にも投資していくという方向も検討価値があればトライしていただければと思います。

私もマーケティング領域でITの分野も理解しておりますけども、当クラブにはそのようなスキルを持った方々もいらっしゃいます。何か気になることがあれば、お近くの会員の方にこれを機会に興味を持っていただければと思います。

最後に自分のマーケティングの話をする機会をいただきました。4月21日(金)に熊本で開催予定です。
興味がありましたらよろしくお願いします。

Power Library
2023年4月21日(金)開催
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