こんにちはIT推進委員会です


こんにちは、2720 Japan O.K. ロータリーEクラブのIT推進委員長の上田浩二(株式会社サークル・オブ・フレンズ代表)です。
今年も2025年があと少しで終わります。

去年の例会の最後の週に、自分がIT委員長としてコラムを書いたものがあります。

2025年問題を“飛躍の年”に変える──AI×人間力が拓く、地方企業の新航路
https://ok2720eclub.jp/it/2025hiyaku.html

2025年、こういうことが来るとは書いてあったところのおさらいと、来年の展望も含めて、今自分が取り組んでいることも合わせてお伝えできればと思います。

今年はAIについてのお話を、いろんな場所でまたオンラインでさせていただきました。セミナーだったり講座みたいなもの、あとは会社の中で研修などをやったりとか、それだけではなくて、社内のボトルネックになっている部分を改善する形でのAIの活用などのお手伝いをさせていただきました。

皆さんが非常に興味を持っている分野ではありつつも、実際に仕事に活用されている方は、個人的に使われる方は多くあったとしても、会社としてのAIの活用というのは、まだまだそこまで広まっていないのかなというのが、自分が感じた印象です。

いつもIT委員会は何をやっているの?というふうに言われて、罪滅ぼし的なコラムをいつもこうやった形で公開していますが、自分が体験したこととか考えとかを含めた形で、皆さんにお役に立てればと思います。ちょっと長いですが、興味があったら読んでください。


【前編】2025年総括:AIは“便利な道具”のままでは終わらない



最初に大事な前置きをします。
2025年は、世の中全体がAIを当たり前に使いこなせるようになった年ではありません。

使う人はものすごく使う一方で、触っていない人はまったく触っていない。その差が広がっているのが現場感覚だと思います。
それでも2025年が“節目”だったのは、AIが「一部の人の流行」から " 王道業務に効く道具 ”としておりてきたからです。

メール、議事録、資料の下書き、調べ物→要約→比較、チェックリスト作成。こうした「毎日やっているけど地味に時間が溶ける仕事」が速くなるだけで、会社の時間の使い方が変わります。

そして2026年は、その流れが「制度と投資」でさらに押されます。国が補正予算で、AI・省力化・DXを生産性向上の柱として明確にしているからです。

この前編は、AI初心者の経営者でも腹落ちするように、次の順で丁寧に進めます。


Step1:2025年に起きた最大の変化――AIは「文章」から「図解・画像編集」へ進んだ

Step2:OpenAIの現在地(GPT-5.2とImage1.5)を経営者目線で要点だけ

Step3:Googleの現在地(Gemini 3 Pro × Nano Banana Pro × Flash × NotebookLM統合)の衝撃

Step4:2025年はAIエージェント元年──でも「丸投げ」はまだ危険

Step5:ここが核心──AIが奪うのは「作業」であって、「仕事」や「職業」ではない

Step6:「中間層が沈む」とは何か──80点の正解がコモディティ化する

Step7:資料作成能力=正解ではない。最後は「選ぶ力(目利き)と、結果を引き受ける力」

Step8:国のメッセージは強い。でも現場の反発も強い(ここが最大の摩擦)

Step9:本題――経営者は「作業員AI」ではなく「参謀AI」を育てる(戦略→戦術→戦闘)

Step10:参謀AIが活きる土台=「パーパス=世の中の〇〇係」(わかりやすい例)

結び:ロータリーだからこそできること

Step0:用語の整理(ここで迷子にならないための地図)


1)生成AI


文章・画像・要約・図などを「生成」するAIです。
得意なのは、手順化しやすい 作業(タスク)です。


  • 要約/箇条書き/比較表
  • 文章の下書き/言い換え
  • チェック観点の列挙
  • 図やイラストの生成・編集(2025年にここが一気に実務寄りに)

2)AIエージェント


生成AIの“次の形”として語られる概念で、ざっくり言うと 「答える」だけではなく「やり切る」AIです。


  • 目的を与える
  • 手順を分解する
  • 調べる
  • まとめる
  • 途中で確認しながら成果物まで運ぶ

2025年が「AIエージェント元年」と呼ばれたのは、こういう“仮想の同僚”っぽいものが増えたからです(代表例は後で触れます)。


3)自動化(ワークフロー)


エージェントが「AIが自律で全部やる」世界観だとすると、現実の会社ではもう一段階あります。
複数のAIや業務ツールを つないで自動化する方法です。


例えばDifyは、AIアプリやワークフローを“つないで作る”方向を強く打ち出しています。
n8nも、様々なサービスをつないで業務を自動化するプラットフォームとして広く使われています。
GoogleもGoogle内でのツールで自動化ができる仕組みも存在しています。

この「つなぐ自動化」は2025年時点ではまだ一般的ではありません。ですが2026年に“じわっと広がる候補”であることは確かです。


Step1:2025年に起きた最大の変化――AIは「文章」から「図解・画像編集」へ進んだ


2025年の変化を、初心者向けに一言でまとめるならこうです。

AIは“文章の自動化”から、“説明の自動化”へ進んだ。

会社の仕事で一番時間が溶けるのは、実は「作る」より「説明する」側です。


  • 提案
  • 採用
  • 教育
  • マニュアル
  • 引き継ぎ
  • 合意形成(これが一番重い)

ここがラクになると、経営の速度が変わります。
だから2025年後半に「図解」「イラスト」「資料素材として使える画像編集」が一気に強くなったことは、単なる“面白いニュース”ではなく、経営に効く変化でした。



Step2:OpenAIの現在地(GPT-5.2とImage1.5)を経営者目線で要点だけ


1)GPT-5.2:ポイントは“賢さ”より「仕事を運ぶ力」


OpenAIはGPT-5.2を、スプレッドシートやプレゼン作成、長い文脈、ツール利用、複数ステップのプロジェクト遂行など、実務で価値が出る方向に設計したと説明しています。
経営者目線だと、ここが大事です。


  • AIに「メール1通」を書かせる → これは入口
  • AIに「意思決定に必要な材料」を整えさせる → ここから本番

社長の頭の中にあるモヤモヤを、AIがこう整理できるなら価値が出ます。


  • 現状 → 問題の構造 → 選択肢 → リスク → 判断基準 → 次の一手
  • 「やること」だけでなく「やらないこと」まで明確にする
  • 反論(痛い指摘)も先に出して、意思決定を硬くする

ここまで来るとAIは、単なる“便利ツール”ではなく参謀候補になります。


2)画像:OpenAI側はGPT Image 1.5で“仕事の画像”に寄せてきた


OpenAIは「ChatGPT Images」を刷新し、APIではGPT Image 1.5として提供すると説明しています。編集の精度や画像の保持が強くなり、ブランドやECカタログ用途にも向く、としています。

ただ、画像生成はまだ万能ではありません。特に「文字」が絡むと、現場ではモデルの得意不得意が露骨に出ます。ここは2026年も“用途で使い分ける”のが現実解です。



Step3:Googleの現在地(Gemini 3 Pro × Nano Banana Pro × Flash × NotebookLM統合)の衝撃


2025年後半の衝撃度で語るなら、Google側の「まとめて分かりやすくする力」は無視できません。


1)Gemini 3 Pro/Flash:速さが上がると「日常運用」になる


Googleは2025年12月にGemini 3.0 Flashを公開し、「速度重視」「手頃なコスト」「幅広いプロダクトで使える」と説明しています。

さらに検索のAI Modeでは、Gemini 3 Flashがグローバルに展開され、AI Modeの標準モデルとして提供すると案内しています。強いAIがあっても遅いと使われません。Flashは「速いから、毎日使える」。この一点で、浸透のしやすさが変わります。

Gemini 3.0 Pro の方が先にリリースをされたのですが、「圧倒的な速さと、無駄のなさ」は十分伝わってきました。私の体感として、Chat GPT GPT-5.1 Thinking、あるいはGPT-5 Proクラスのアウトプットに近いクオリティで素早く出てきたので驚きでした。またデザインのようなクリエイティブの分野でも圧倒的な表現力で、さらに驚きました。

同時に「Antigravity」というコーディングツールも発表し、周りの特化したAIたちを一気に飲み込みにかかるような出来で、それをGemini 3.0 Pro、Nano Banana Proとほぼ同時期に、開発者向けの“Antigravity”も展開され恐ろしさも感じました。


2)Nano Banana Pro:図解・編集の破壊力


今回のNano Banana Proのアップデートは、機能の強みとして「絵が綺麗」だけではありません。
情報を整理して、図やイラストで“説明可能な形”に落とせることです。経営者が欲しいのは映える絵より「伝わる図」ですから、衝撃度が高いのは当然です。

このリリースの後にChat GPT Image 1.5がでたのですけど、大きな差を産んだのはテキストデータからの内容理解から表現力と日本語の文字化けをほぼしない多言語対応力でした。後からリリースしたにも関わらずChatGPT Images(GPT Image 1.5)も大きく改善しましたが、OpenAI自身が多言語テキストは“制約が残る領域”と説明しています。実務では用途で使い分けが現実的です。


3)NotebookLM×Gemini:自社資料を添付して“自社の文脈”で壁打ちできる


そして一番、経営者に効くのがここです。

GeminiにNotebookLMのノート(ノートブック)を添付して、その内容を文脈にチャットできるようになり(アカウントによって利用可否が異なる場合があります)、さらに充実度が上がりました。特にインフォグラフィックやスライド機能は相手にわかりやすく伝えるツールとして、ものすごいインパクトのクオリティーで、(体感として)短時間で“説明に耐える素材”が出せるようになり、企画・研修・営業資料の作成速度が大きく上がりました。
これが何を意味するか。AIが「一般論」から「自社論」に寄ってきます。


  • 自社の提案書
  • 過去の議事録
  • 研修資料
  • ベテランのノウハウ(文字起こし)
  • 顧客の声(インタビュー)

これをAIが読んで壁打ちできる。ここまで来るとAIは“検索窓”ではなく、参謀候補になります。



Step4:2025年はAIエージェント元年──でも「丸投げ」はまだ危険


AIエージェントを初心者向けに言うと、こうです。


  • 普通のAI:質問すると答える
  • エージェント:目的を渡すと、調べて、まとめて、成果物まで運ぶ

2025年は、GensparkやManus、Skyworkのように「エージェント」を掲げるサービスが目立ちました。
ただし、ここは冷静に言い切ります。

エージェントは“新人同僚”だと思った方がいい。

便利だが、監督と確認が必要。
間違い(幻覚)がゼロではない。情報源の信頼性チェックが必要。社内の政治や人間関係は調整することはできない。セキュリティ・権限・運用ルールが必要。

だから2025年は「丸投げ元年」ではなく、設計元年でした。


Step5:ここが核心──AIが奪うのは「作業」であって、「仕事」や「職業」ではない



「AIで仕事がなくなる」という不安の正体を、ここで整理します。ポイントは「仕事」という言葉が曖昧すぎることです。私たちが普段「仕事」と呼んでいるものは、実は三層です。


① 作業(Task)=手順化できる最小単位


入力、要約、分類、比較、テンプレ文章、資料の整形…。
AIが最も得意で、置き換わりやすい領域です。


② 仕事(Work)=作業を束ね、文脈で成果にする


優先順位、調整、顧客理解、判断、合意形成…。
AIが作業を担うほど、ここは 再設計されます。消えるのではなく作り変わる。


③ 職業(Job)=社会が託す責任と信頼


経営者、士業、医療など。倫理・責任・権限・説明責任。
AIは責任を取れないので、ここは代替できません。

結論は明快です。


  • AIが奪うのは作業(Task)
  • AIが再編するのは仕事(Work)
  • AIが代替できないのは職業(Job)

だから本当に危ないのは「職業がなくなる」ことではなく、
仕事をしているつもりで、作業だけしていた状態”が危うくなることです。


Step6:「中間層が沈む」とは何か──80点の正解がコモディティ化する



次に「中間層の仕事がなくなる」という話を、誤解なく説明します。
これは年齢の話ではありません。価値の形の話です。

AIが最も量産できるのは「80点の正解」です。


  • 無難にまとまった資料
  • それっぽい提案書
  • 教科書通りの分析
  • クセのない文章

これらは以前、お金になりました。
でもAIが低コストで大量供給できるようになると、価値が下がりやすい。
つまり「ほどほどにできる」「平均点が取れる」だけでは、価格競争に巻き込まれやすくなる。これが“沈む”の正体です。
では、どうなるか。二極化します。


  • AI指揮者側:問いを立て、目的を定義し、AIを動かし、選ぶ(責任)
  • 意味づけ側:理念・信頼・物語、「この会社だから」を磨く

地方の中小企業は本来、この両方を組み合わせると強い。
仕組みで効率を上げつつ、地域で積み上げた信頼で選ばれる。ここに希望があります。


Step7:資料作成能力=正解ではない。最後は「選ぶ力(目利き)と、結果を引き受ける力」


ここは、経営者に一番刺さるポイントとして、はっきり書きます。

AIで“きれいな資料”が作れても、正しい意思決定ができるとは限らない。

現実に、優秀な経営者でも悪手を打つことがあります。
周りに優秀な人がいて、何百時間かけた資料があっても、決断を誤れば、その資料は“価値を失う”。

だから、AI時代に経営者が鍛えるべき中心はこれです。

選ぶ力(目利き)と、結果を引き受ける力

AIは選択肢を100通りでも出せます。
でも「どれを選ぶか」はAIが決められません。責任が取れないからです。
ここが経営者の仕事の核です。

そして、ここで危険なのが「わかったフリ(ポチョムキン理解)」です。
AIの出力を“なんとなく分かった気”でOKして、使う。これは事故の入口。
逆に言えば、AIは深掘りすれば答えてくれます。根拠、反論、抜け漏れ、検証方法まで。

だから「深い理解」を作り、人に教えられる状態まで持っていける。ここが正しい使い方です。


Step8:国のメッセージは強い。でも現場の反発も強い(ここが最大の摩擦)


令和7年度補正予算は、2025年12月16日に参院本会議で可決・成立しました。
中小企業庁は「中小企業生産性革命推進事業(令和7年度補正予算案 3,400億円)」を掲げ、ものづくり補助金・IT導入補助金・持続化補助金などの枠組みを含む形で生産性向上を後押ししています。
経産省側も、補正予算全体で賃上げ環境整備や生産性向上支援を前面に出しています。

要するに国は「省力化して生産性を上げる」方向にアクセルを踏んでいます。

ただし、現場は厳しい。社員目線では、ストレス構造はこうです。


  • 今まで通り仕事しても給料はもらえていた
  • そこに突然「AIを学べ」「新しいことを覚えろ」という命令が来る
  • 学習コストが上乗せされる
  • 失敗したら評価が下がる不安がある
  • 結果、拒否反応が出る

つまり、浸透を阻む最大の壁は“技術”ではなく、感情と学習コストです。
だから導入は「号令」ではなく仕組みが必要。つまり「設計」です。
小さな成功体験/ルールの明文化(不安を消す)/翻訳者(No.2)/外部支援/そして“楽しむ入口”。
この設計がないと、AIは定着しません。



Step9:本題――経営者は「作業員AI」ではなく「参謀AI」を育てる(戦略→戦術→戦闘)


私が目指しサポートしていく「経営者にとってのAI」は

AIを作業員(手足)としてではなく、壁打ち相手・相談役(頭脳)=隠れた参謀として育てる。

ポイントは、戦略 → 戦術 → 戦闘(コンバット)で考えることです。
多くの人がAIに頼んでいるのは“戦闘”レベル(目の前の作業)です。
それを“戦略”“戦術”だと勘違いしていると、AI活用がズレます。


  • 戦闘:コピー100個、資料を整える、投稿文を作る
  • 戦術:広告運用の設計、採用導線、CRMの流れ
  • 戦略:どこで勝つか、何を捨てるか、10年ロードマップ、理念と市場の一致


いい戦闘をしても、戦略が間違っていたら覆せない。

だから経営者こそ、AIを“戦略から”使うべきです。
例として、こういう問いは参謀AI向きです。プロンプトを入力するならば、


  • 「人々が毎日お酢を飲む文化を作るなら、それを浸透させるための10年のロードマップは?」
  • 「10年ロードマップから、巻き込むべき関係者は誰で、最初の1年目のアクションプランは何をする?」
  • 「この計画の弱点と撤退条件を出して」

ここまで来るとAIは作業員ではなく参謀になります。


Step10:参謀AIが活きる土台=「パーパス=世の中の〇〇係」(わかりやすい例)



パーパスは理念やMVVと同じく「会社の軸」ですが、抽象語だと機能しません。
そこで私は、パーパスをこう捉えるのが分かりやすいと思っています。

パーパスとは「世の中で何の係(困りごと担当)をやる会社か」を宣言すること。

「世界中の人を笑顔にする」といった多くの企業が掲げるパーパスが、「誰も反対できない、美しく正しい言葉」になりすぎています。「特定の役割に徹すること(それ以外はやらないと決めること)」で、「誰もが賛成する美しいポエム(理想)」から脱却し、「社会」という学校のクラスを回すために、具体的に汗をかく『〇〇係(機能・役割)』」を宣言することこそが、実効性のあるパーパスであると思うのです。

ここで、具体例を省略せずに出します。


例)世の中の〇〇係(パーパス例)


1) 社長の参謀係


  • 役割:社長の迷いを減らし、意思決定を固くし、実行を早くする
  • 職種/会社タイプ例:経営企画/社長室/参謀役の外部コンサル/顧問
  • よくある業界例:中小企業全般(製造・建設・医療・介護・サービス・士業事務所)
  • 具体アクション例:10年→1年→90日のロードマップ/撤退条件/反論(悪魔の代弁者)

2) 現場省力化係


  • 役割:人手不足で回らない現場の「無理・ムダ・属人化」を減らし、少人数でも回る形に整える
  • 職種/会社タイプ例:業務改善コンサル/生産管理/現場DX推進/カイゼン担当/工場長
  • よくある業界例:製造、物流、建設、介護、飲食、ホテル、医療、店舗運営
  • 具体アクション例:業務棚卸→削減→手順化→AI/ロボ導入→効果測定

3) 採用ミスマッチ防止係


  • 役割:採れない・辞めるを減らし、「会社に合う人」が集まって残る採用を作る
  • 職種/会社タイプ例:採用責任者/人事/採用マーケ担当/採用コンサル/人材広報
  • よくある業界例:人材難の業界全般(製造・建設・医療・介護・サービス)
  • 具体アクション例:MVV言語化→合う人定義→求人設計→応募者体験→定着設計

4) 技術継承係


  • 役割:ベテランの暗黙知を「残して使える資産」にし、育成と品質を安定させる
  • 職種/会社タイプ例:教育担当/OJT責任者/品質管理/技術部門リーダー/ナレッジ管理
  • よくある業界例:製造、設備、メンテ、工事、医療、介護、職人系
  • 具体アクション例:動画・音声・手順書化→検索可能なナレッジ→新人教育に組み込み

5) 数字の見える化係


  • 役割:キャッシュと計画を見える化し、投資・撤退の判断ができる状態にする
  • 職種/会社タイプ例:CFO/経理財務/財務顧問/キャッシュフローコーチ/経営企画
  • よくある業界例:資金繰りが重い業界全般(製造・建設・医療・介護・成長企業)
  • 具体アクション例:固定費/変動費整理→資金繰り→月次レビュー→投資判断基準

6) 情報の翻訳係(社長と現場の通訳係)


  • 役割:社長の構想やAI活用を、現場が動ける言葉と手順に翻訳し、定着させる
  • 職種/会社タイプ例:PM(プロジェクトマネージャー)/DX推進リーダー/No.2/外部伴走役
  • よくある業界例:社長主導で変化が速い会社、拠点が複数ある会社
  • 具体アクション例:ツールを絞る→ルール整備→小さな成功体験→運用の型を作る

7) 信頼の可視化係


  • 役割:良い仕事をしているのに伝わらない“穴”を埋め、選ばれる理由を見える形にする
  • 職種/会社タイプ例:広報/マーケ/ブランド担当/編集者/営業企画/制作会社
  • よくある業界例:BtoB、士業、地域密着サービス、専門性の高い会社
  • 具体アクション例:実績・工程・考え方を図解→Web/SNS/ニュースレター→導線整備

8) 顧客の声収集係


  • 役割:顧客の本音(VoC)を集め、改善テーマに落として、商品・サービスを強くする
  • 職種/会社タイプ例:マーケリサーチ/CS(顧客対応)/商品企画/UXリサーチャー
  • よくある業界例:サービス業、医療、介護、EC、店舗ビジネス
  • 具体アクション例:インタビュー/アンケ→AIで分類・要約→改善テーマ→施策化

9) 学び直し係


  • 役割:学習コストで止まる壁を、最小の負担と成功体験で超えられるようにする
  • 職種/会社タイプ例:研修担当/人材開発/コミュニティ運営/教育コンサル
  • よくある業界例:人材不足・定着課題がある企業、変化が大きい業界
  • 具体アクション例:週15分から→趣味入口→業務接続→成果の共有(楽しさ設計)

10) 倫理と安心のガード係


  • 役割:AI活用の誤情報・炎上・情報漏えいを防ぎ、安心して使えるルールを作る
  • 職種/会社タイプ例:情報システム/セキュリティ担当/法務/ガバナンス責任者
  • よくある業界例:個人情報を扱う会社(士業、医療、教育、行政関連)
  • 具体アクション例:入力NGルール→出典確認→承認フロー→教育→運用監査

使い方(超シンプル)


  • 「うちの会社はどの係が一番近い?」を選ぶ
  • その係の“役割宣言(1行)”を自社の言葉に変える
  • その係が実現するために「今月やること」を1つだけ決める
  • AI(参謀AI)に「この係としてのロードマップ」「リスク」「撤退条件」を壁打ちさせる

「うちは何係なのか?」が決まると、参謀AIに投げる問いの質が上がります。
AIは“目的”が明確なほど賢くなるからです。


結び:ロータリーだからこそできること


ここまで読んで「AI、やっぱり難しいな」と感じた方がいたら、安心してください。
AIは“最先端を追う競争”ではありません。使いどころの設計です。特に中小企業は全部やる必要がない。やるべきことを絞って、成果を出すのが正解です。

そしてロータリーには、AI時代に強い武器があります。
それは 信頼と経験です。

AIは作業は強い。でも責任は取れない。
最後に指を指すのは人間です。
だからこそ、経営者が鍛えるべき中心は「選ぶ力(目利き)と、結果を引き受ける力」です。

もしよかったら、例会や懇親の場で、10分だけ聞いてみてください。
難しい資料は要りません。次の3つだけで十分です。


  1. うちは世の中の何係をやりたいか(仮でOK)
  2. いま一番困っている“穴”は何か
  3. 参謀AIに壁打ちさせたいテーマは何か

そこにヒントがあります。

私は経営者がそういう参謀のAIを作る研修やサポートをしています。
“AIを学ぶ”より先に、“経営が軽くなる実感”を作る。そこから始めましょう。



『【後編】2026年展望:AIの波を「参謀AI」と「95%化」で味方にする』に続く


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