今週の例会



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開会点鐘・歌の斉唱





会長の時間:高齢社会における資産形成・管理について


本年6月に金融庁のワーキンググループが出したレポートが強いインパクトで受け取られ「年金が2000万足りなくなる!」といったショッキングなフレーズが「一人歩き」したことは記憶に新しいところです。本日は、当該レポートが何を訴えているのかについて解説してみたいと思います。

まずは、当該ワーキンググループですが、学習院大学大学院法務研究科教授を座長として大学教授、コンサルティング会社代表者、専門誌編集長、投信会社代表者、証券会社系研究所研究部長、新聞社論説委員、製鉄会社副社長など20名の委員が構成するグループにオブザーバーとして消費者庁、財務省、厚生労働省、国土交通省、日本銀行、日本取引所グループ、日本証券業協会、投資信託協会、日本投資顧問業協会、信託協会、全国銀行協会、国際銀行協会、生命保険協会が参画しているグループです。

レポートの大まかな構成は以下の通りです


1.現状整理(高齢社会を取り巻く環境変化)


(1)人口動態等(2)収入・支出の状況(3)金融資産の保有状況(4)金融環境に関する意識


2.基本的な視点及び考え方


(1)長寿化に伴う資産寿命延長の必要性(2)ライフスタイル多様化に伴う個々人ニーズの多様化(3)公的年金受給に加える生活水準向上行動(4)認知・判断能力低下対策


3.考えられる対策


(1)資産形成・管理上の心構え(2)金融サービスのあり方(3)環境整備

冒頭、「はじめに」と題した文章で当該レポートの概略が述べられています。内容は以下のようなものです。

我が国の人口減少・高齢化の進展傾向に鑑みるに、総人口が減少傾向に転ずる中で長寿化傾向は年々進展しており「人生100年時代」と呼ばれるかつてない高齢社会を迎えようとしています。政府においては高齢社会の金融サービスとはどうあるべきかの真剣な議論が必要な状況であり、個々人においては「人生 100 年時代」に備えた資産形成や管理に取り組んでいくこと、金融サービス提供者においてはこうした社会的変化に適切に対応した金融商品・金融サービスを提供することがかつてないほど要請されています。

そうした中で、個々人及び金融サービス提供者双方の観点から議論を行い、その議論の内容を報告書として今回提言します。本報告書の公表をきっかけに金融サービスの利用者である個々人及び金融サービス提供者をはじめ幅広い関係者の意識が高まり、令和の時代における具体的な行動につながっていくことを期待します。

ざっくりいうと「長寿化が著しい中での資産形成・管理のあるべき姿に関する提言レポート」といった印象です。

長寿化に関して、60才人口の何パーセントが95歳を迎えるか?について、1995年時点では14.1パーセントにすぎなかったもの(約7人に一人)が、2015年時点では25.3パーセント(約4人に一人)となっており「人生100年時代」が本格化しています。

長寿化が進む中で「平均寿命」と「健康寿命」の差に関しての対策も必要で、8年から12年間の「生存しているが健康ではない」期間対策が必要といわれています。

報告では退職金の支給水準の低下傾向と年金の拠出人口と受給人口のバランス変化に伴う年金受給額減少可能性についても言及されており、支出が収入を超過しがちな高齢世帯における「赤字額」を「月額約5万以上」と仮定(年額約60万)した場合、65才から95歳の30年間で約2000万を金融資産から取り崩して対処する必要があるとされています。

対処策について、米国では75歳以上の高齢世帯の金融資産はここ20年ほどで3倍ほどに伸びている一方、わが国の同年代の高齢世帯の金融資産はほぼ横ばいで推移しており、対照的な動きとなっていることが報告されています。



理由として、金融資産の内訳バランスが、預貯金に偏重している傾向にあると考えられると報告されています。



報告では、老後に備えた資産形成になるべく早期から着手する必要があるとしたうえで、形成した試算を「使うフェーズ」においても、運用効率を考える必要もあるとしています。

これに関して、みずほ銀行が作成した資料で興味深いものがありましたのでご紹介します。老後に備えて65歳時点までに形成した3500万円の資産を月額13万ずつ取り崩した場合、無運用だと概ね87才時点で残高がゼロになる計算ですが、毎年3パーセントの効率で運用できれば102歳まで残高が確保されるというものです。



報告書は、高齢となった以降、認知・判断能力の低下を防止する観点と収入額確保の観点から就労継続年齢の延長が必要であることについても言及しています。

今回のお話は、直接ロータリーとは関連しないものでしたが、何をするにしても不可欠なのは「先立つもの」であり、皆さんの資産形成アクションについての参考としていただきたくてお伝えしました。
 
次回は今回に引き続き「未来の不安を安心に変える資産形成プラン」についてお話します。

ロータリーを 学び 好きになり 楽しもうではありませんか!

会長の時間を終わります。

2720JapanO.K.ロータリーEクラブ
会長 早水琢也


出席報告


例会 第13回【通算第112回】 2019年10月28日正午~11月4日正午(出席数・出席率 11月4日
正午)


会員数 出席義務者 出席数 出席率
59 59 54 91.53%

例会 第12回【通算第111回】 2019年10月21日正午~10月28日正午(出席数・出席率 10月28日
正午)


会員数 出席義務者 出席数 出席率
59 59 55 93.22%

幹事報告


幹事報告
(1)報告
(2)来信紹介
(3)各種行事のご案内
(4)理事会報告


《報 告》

《地区大会 報告の件》
 11月8日(金)9日(土)の二日間に渡り、2019−2020年度の地区大会が大分県中津市内にて開催され、我がEクラブからは23名の登録者と米山奨学生のロン君も参加し、地区大会を体感(勉強、親睦)して参りました。



地区大会 初日


初日(11月8日(金))に行われたのが、地区指導者育成セミナー全国ローターアクト・パネルディスカッションが中津文化会館で行われ、モデレーターの岡村パストガバナーより『テーマ…若い人々の参加』と題して、4名のパネリストによる意見交換が繰り広げられました。
そのパネリストの中に、我がクラブの《中川宝星会員》が壇上にてローターアクトの事やその後の素晴らしい活動体験等を発表していただきました。
中川会員はかなり緊張しておりましたが、壇上での立ち振る舞いやコメントが会場の参加者に突き刺さっていたことは同じクラブ会員として誇りに思えた瞬間でした。本当にお疲れ様でした。


その後、会場を移し《会長・幹事歓迎、会員交流会》が行われました。
今回は参加人数が500名弱と大多数の参加となった為、会場が3会場と分かれていましたが、会は中津ロータリーホストクラブの歓迎挨拶から始まり、乾杯、アトラクション①、②とスケジュールは流れ、交流会は大いに盛り上がって行きました。


その後熱気は冷めやらず、会員交流会が終了しても中津の夜はロータリー一色だったことは言うまでもない事ですが、Eクラブ内でもクラブ内交流会を実施し、親睦をより深め地区大会初日を終了しました。

地区大会2日目 本会議


地区大会二日目は、メインの本会議がスタートしました。
オープニングはガバナー補佐・クラブ会長入場行進を高校野球の入場行進曲と共に紹介され、我がEクラブの早水会長も立派な入場行進を行っていただきました(本人曰くかなり緊張したとのことでした。)
その後、RI会長マーク・ダニエル・マローニーのビデオメッセージや瀧ガバナーの想い、硯川ガバナーエレクトの挨拶、大森ガバナーノミニーの挨拶と続き、今後の当地区への想いや方向性を説明いただけました。


そして地区表彰におきましては、《2018−2019年度 ロータリー賞 会長特別賞:ゴールド》の表彰をいただくことが出来ました。この賞は前年度に続く2年連続の表彰だった事もあり、地区表彰委員会の木村初委員長より冒頭において受賞の名誉を讃えるご説明をいただきました。参加会員と共に大いに盛り上がることが出来嬉しかったです。


昼食は中津の仕出し弁当で舌鼓をしながら、会員同士の親睦も深め、米山奨学生のロン君に奨学金の贈呈を行いました。


後半は各クラブの次年度地区大会ホストクラブ挨拶と続き、記念講演(立命館アジア太平洋大学学長 出口治明氏 テーマ…変態が改革する多様性社会)にて閉幕致しました。

この二日間の地区大会に参加させていただき、私にとっては得るものがメチャメチャありました。地区クラブ内のパワー、方向性、志、友好、体験…など様々ものを得ることが出来ました。

今回参加が叶わなかったEクラブ会員の方々は、次回の地区大会にはぜひ参加なさってください。私が体感したものはほんの一部に過ぎないかもしれません。皆様の感性と志しの高さでより得るものがもっとあると思います。そして更にロータリーに触れる素敵な機会だと思います。
次回は2021年3月13日〜14日、場所は熊本市の熊本城ホールです。是非時間を割いてご参加をお願いいたします。


《ロータリーレートの件》
 2019年11月のロータリーレートは1ドル=108円とMy ROTARY に掲載されておりましたのでお知らせ致します。
 


《来信紹介》


《2019~20年度 RLIディスカッションリーダー研修 開催のご案内》
 RLIディスカッションリーダー研修会12142019

《ロータリ財団 リソースのご案内 》
 ロータリ財団 ロータリ財団 月間 リソースのご案内
 国際ロータリー出版物日本語版注文用紙 (抜 粋)


《各種行事のご案内》


《地区会員増強部門・新進気鋭会員セミナー》
 日 付:11月23日(土)12:30~16:30(受付開始 12:00~ 点鐘 12:30)
 場 所:熊本市流通情報会館 501研修室
 住 所:熊本市南区流通団地1丁目24 
 TEL:096-377-2091
 登録者:早水 前田(雅) 安部 清末 松田 佐藤(弥)各会員(11月10日現在)
 2019-2020 瀧ガバナー年度 新進気鋭会員セミナーご案内 R1 9 11
 熊本流通情報会館

《第28回大分市内9RC合同親睦ゴルフ大会》
 日 付:11月23日(土)8:30トップスタート〜
 場 所:大分サニーヒルゴルフ倶楽部 
 表彰式:ザ・ブリッジ 表彰式は18:30より開催
 登録者:片山 長野 荒巻 都築 各会員
 表彰式登録者:片山 長野 荒巻 宮迫 各会員
 第28回大分市内9RC合同親睦ゴルフ大会のご案内
 ゴルフ実施要項
 ゴルフ申込書

《職業奉仕研修セミナー》
 日 付:年11月30日 (土) 12:30受付開始 13:00開会
 場 所:中津市教育福祉センター (大分県中津市沖代町1丁目1-11)
 登録者:早水 前田(雅)久保田 各会員
 職業奉仕研修セミナー 開催案内(H30-06953)

《クリスマス家族会》
 日 付:2019年 11月30日 (土) 18:00〜21:00
 場 所:レストランサッポロ(大分市都町3丁目2−24 ホテルザーズ4F)
 締め切り:11月24日(日)
 登録者:11月10日調べ(早水会長、松田会員、近藤会員、植山会員、佐藤弥生会員、今長会員、
 スチッタ会員、村田会員、松浦会員、中川会員、清末会員、陶山会員、尾林会員、井田会員、ロンくん、久保田 
 インターアクト生複数、ロータリアンファミリー複数)

《岩田学園インターアクトクラブ創立総会・認証状伝達式》
 日 付:2019年12月14日(土) 14:00~15:30(登録開始13:30)
 場 所:トキハ会館5階ローズの間(大分市府内町)
 登録者:未定
 岩田学園インターアクトクラブ創立総会並びに認証状伝達式のご案内

《理事会報告》

 今週の理事会報告はございません。

                                     幹事 久保田 努


<サポーターの地区別・クラブ別人数>


【お礼】
2019年11月10日現在、総数51名のクラブ外ロータリアンの皆様に「サポーター」となっていただいています。
心より感謝申し上げます。

【サポーター制度について】
当クラブにはサポーター制度があり、サポーターを随時募集中です。
サポーターの会費は年間(6月末までの年度毎)¥10,000(税込み)で、サポーターの方にはメークアップ証明書を無料で発行致します。
サポーターご希望の方は、「サポーターお申し込みフォーム」ページより、お手続きをお願いいたします。

会員各位におかれましては、お知り合いのロータリアンに制度をご案内いただき、おひとりでも多くの方にサポーターとなっていただき、当クラブ運営に参画いただければと存じます。

【サポーター数】
(2019~2020年度)2019年11月10日現在  合計 51名


他地区計(2名)


地区 クラブ名 人数
2700 久留米 1
----- その他 1

2720地区計(49名)


                     
地区 クラブ名 人数
2720 熊本
2720 熊本東
2720 熊本城東 3
2720 熊本南 1
2720 熊本西南 2
2720 熊本西稜 1
2720 人吉 1
2720 中津 9
2720 日田
2720 宇佐2001
2720 別府 1
2720 大分
2720 大分臨海
2720 大分南
2720 大分中央
2720 大分1985
2720 大分城西
2720 大分キャピタル
2720 津久見

委員会報告


ロータリー財団委員会  
     ロータリー財団委員長 松浦 倫

ロータリー財団について   「我がクラブの平均寄付額は61.33ドル」

今月11月は、ロータリー月間です!ロータリー財団について少しご説明いたします。
ロータリー財団の使命は、ロータリアンが健康状態を改善し、教育への支援を高め、貧困を救済することを通じて、世界理解、親善、平和を達成できるようにすることです。
皆さんの財団へのご寄付支援のおかげで、世界中の人々の暮らしに大きな変化をもたらす活動が実現しています。
寄付は、以下に使われます。
① 平和と紛争予防/紛争解決
② 疾病予防と治療
③ 水と衛生
④ 母子の健康
⑤ 基本的教育と識字率向上
⑥ 経済と地域社会の発展
以上の6つの重点分野に取り組むプロジェクトを支えます。
寄付金には年次基金寄付と恒久基金寄付とポリオプラス基金寄付と使途指定寄付の4つがありますが、通常、皆さんにお願いする寄付はこの年次基金寄付です。
この年次基金寄付は、財団寄付の基盤であり、この寄付は使い道を指定することなく、ロータリー財団に寄付するものです。
「年次」というのは毎年続けるという事で、財団プログラムを存続させるための燃料の役割を果たしています。年次基金寄付を推進する世界的マーケティング計画として、Every Rotarian・Every Year(毎年あなたも100ドルを)が2004年5月の管理委員会で採択されました。ひとりひとりが、毎年、100ドル以上、世界的なスタンダードからすると、150ドル以上を寄付してほしいという計画です。

我がクラブの寄付額(宮迫会長年度)は、61.33ドルでした。髙山ガバナー年度は、地区内年次寄付総額が266.278ドル、会員数2452名。平均が、108.59ドル。残念ながら、地区平均からすると、なんと47.6ドル、5000円以上の差があります。年会費が他クラブより半額程度と安い我がクラブ。今年は、皆さんの身の丈に合う寄付をお願いしたいと思います。
皆さんのもとにも、よく得体のしれない寄付依頼があると思います。(よくあるんですトホホ)が、ロータリーの寄付は、全て6つの重点分野に取り組むプロジェクトに使われるということ。

今は、他クラブのプロジェクトを寄付により応援しましょう。いつかは、近い将来、我がクラブで、プロジェクトを開始させましょう。


財団は非営利団体で、ロータリアンはじめ、より良い世界を築こうというビジョンを共有する財団支援者の方々から自発的な寄付のみによって支えられています。「毎年すべてのロータリアンが年次基金へ寄付することでロータリー財団の活動に参加しましょう」という合言葉で寄付による参加を呼びかけています。
 2月頃に年次基金寄付金のアンケートを実施し、寄付金を募りますが、ご理解の程をお願い申し上げます。
又年次基金寄付以外の寄付についても常時受け付けておりますので今年は、100ドル以上のご寄付を宜しくお願い申し上げます。


※ 今月のお祝い ※


会員誕生日を紹介していますので、会員専用サイトにてご確認ください。
(11月のお祝いページにて掲載しています)
https://ok2720eclub.jp/member/


今週のスマイルボックス


♡ 木原 寿彦 会員  2口
ご有志の皆様より、結婚のお祝いに掛け布団を頂きました。私は6月30日に入籍をし、10月13日にレゾネイトクラブくじゅうにて、挙式及び披露宴を執り行いました。
最高の伴侶と人生をともにすることになり、今まで以上に使命に打ち込めそうです。
これからも温かく見守ってください。この度は本当に有難うございました。

♡ 植山 朋代 会員   5口
ラグビーワールドカップ大分会場に主人とともにボランティア出務しました。無事成功裡に終えられて感無量です。スマイル5口させて頂きます!


♡ 尾林 邦生 会員  3口 
95歳になる母ですが、9月7日に背骨の圧迫骨折で入院していましたが、10月31日に退院しました。
熊本で有ったリアル例会日以外の約50日は病院に寝泊まりしての介護の日々でしたが、介護について私も多くの事を考える時間が出来ました。これからは家での介護になり、Eクラブの皆様にもご迷惑をお掛けする事も有ろうかと思いますが、代理を見つけてなるべく多く参加したいと思っております。無事に退院出来たことに感謝してスマイル致します。


ゲスト卓話:大分の美術状況―そのルーツと特質 〜豊後南画 日本画篇〜



菅 章 氏
(大分市美術館 館長)


大分市美術館館長の菅章(すがあきら)と申します。今回は「大分の美術状況-そのルーツと特質」というテーマでお話いたします。中でも、大分は日本画が盛んな県です。それは、江戸時代後期、田能村竹田(たのむらちくでん)という豊後南画の巨匠が登場し、当時の絵師や学者、文化人と交友しながら、優れた作品を多く残すとともに、弟子を育成し、豊後南画の隆盛を築いたからです。明治に入っても、竹田の影響力は衰えることなく、その弟子、孫弟子らによって、南画王国と呼ばれるほど盛んでした。また、大正時代には新南画と呼ばれる、南画の影響を受けながらも、新しい南画日本画の傾向も台頭し、彼らによって大分県の近代の日本画の扉がさらに開かれていきます。

そうした中、福田平八郎が京都画壇で写生を基にした装飾性に満ちた独自の様式美を持った日本画で注目され、その影響により、大分県の日本画家が躍進を見せます。福田より20歳若い髙山辰雄、福田のライバルでもあった堂本印象に師事した岩澤重夫など、他県ではあまり見られない充実した系譜が見られます。

今回、そのような日本画の歴史を辿っていきます。


菅 章 略歴


大分市美術館館長。国際美術評論家連盟会員。美術館連絡協議会理事。大分県立芸術文化短期大学非常勤講師。東京造形大学造形学部美術学科絵画専攻卒業。鳴門教育大学大学院修士課程修了。2010年より現職。企画展として、ネオ・ダダJAPAN1958-1998-磯崎新とホワイトハウスの面々-(1998)、吉村益信の実験展(2000)、村井進吾-思考する石-(2001)、アート循環系サイト(2002)、磯崎新 美術館と住宅(2004)、芸術都市の水脈展(2015)。
受賞、美術手帖芸術評論佳作「アンチミメーシスの文脈-川俣正におけるコンテクストの意味-」(1993)、『彫刻の森美術館開館 25 周年記念彫刻評論集』 「彫刻における場と外在性」(1994)著書に『ZOKEI』(六耀社・1997) ・『美術鑑賞宣言』(共編著・日本文教出版 2003)


大分県の文化の歴史的原点


日本画の話の前に、まずは前提となる大分県の文化の歴史的原点について触れたいと思います。画像をご覧いただきながら進めてまいります。
古代において宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)の信仰とともに仏教美術が発展しました。特に平安中期以降は磨崖仏制作が盛んに行われ、全国の7割近くを占めています。これは国宝の臼杵石仏と大分市にある元町石仏です。


臼杵磨崖仏 平安時代後期

図―1 臼杵磨崖仏 平安時代後期

大分元町石仏  平安時代後期

図-2 大分元町石仏 平安時代後期


戦国時代には大友宗麟の「進取」の精神に基づき、いち早く南蛮文化を取り入れました。この先進性は画期的なものであり、豊後は当時日本でも有数の国際貿易都市として注目を集めました。

江戸時代の府内は、豊後国に分立した小藩の城下町のひとつにとどまりました。そのような小藩分立の中、江戸時代以降においても、豊後は、独自性をもった美術の歴史をたどっていきました。それでは、近世から現代に至る大分の美術状況を時代と分野で見ていくことにいたします。


図-3 大友宗麟像

図-3 大友宗麟像


豊後南画


まずは江戸時代の中期以降に隆盛を誇った豊後南画です。南画は中国の南宗画(なんしゅうが)を元に、日本で発展した絵画様式で、文人画とも呼ばれます。

豊後南画の系譜です。田能村竹田は南画家として、数多くの優れた作品と後継者を残しました。その幅広い識見と人間的魅力に数多くの門人が集まり、帆足杏雨、高橋草坪、田能村直入などを育て、豊後南画の隆盛を促しました。


図-4 豊後南画の系譜

図-4 豊後南画の系譜


田能村竹田の絵師としてのスタートは岡藩を引退した37歳のときでした。彼が高い評価を得ることが出来たのは、深い学識と気骨ある生活態度のためで、竹田岡藩引退後、広く長崎、京大阪、江戸に旅し、頼山陽(らいさんよう)、谷文晁(たにぶんちょう)など著名な文人や画家と交流しました。特に頼山陽との深い交友は有名です。

田能村竹田(1777~1835)竹田市に生まれる。父は岡藩侍医 豊後国志などの編纂に携わる。
1813年隠居し、以後京都や大阪を中心に、文人との交流を重ねる。西日本における代表的な文人画家。数多くの弟子を育て、豊後南画の祖と呼ばれる。


図―5 田能村竹田肖像

図―5 田能村竹田肖像


これは、田能村竹田の代表作である「暗香疎影図」(あんこうそえいず)と「桃下流水図」(とうかりゅうすいず)です。ここでは、天保期(1830~44)を迎え、※王蒙(おうもう※中国の元宋の4大家のひとり。画面の連続性を重んじた)の画法を踏まえた独自の画面構成を見せるようになっています。観るものの視線を左右に揺るがせ、下部から上部の余白へゆったりと誘い、静謐な大気と、うねるような響きが染み渡る画面が実現しています。


図-6 「暗香疎影図」

図-6 「暗香疎影図」

図-7 「桃下流水図」

図-7 「桃下流水図」


竹田(ちくでん)の弟子、帆足杏雨(ほあしきょうう)は、多くの弟子を育て、大分における豊後南画の普及に貢献した南画家です。絵画以外にも、日出の帆足万里や日田の広瀬淡窓(ひろせたんそう)に学んでいます。竹田とともに、京都や大阪に旅をし、多くの文人たちとの交流を深めました。


帆足杏雨(1810~1884)大分市戸次の酒造業を営む庄屋の四男として生まれる。1824年田能村竹田に師事。1872年オーストリアで開催された万国博覧会にも出品。大分県下における文人画を広めた功績で知られる。


図―8 帆足杏雨肖像

図―8 帆足杏雨肖像


杏雨の代表作「老圃秋容図」(ろうほしゅうようず)「風雨渡船図」(ふううとらいず)です。竹田の画法を吸収し、中国画学習を積極的に行った成果が見られる作品です。作品に優雅な気品と、光や大気を感じさせる穏やかな空間を創り出しているのは、様々な色をにかよった明度に統一させる杏雨独自の彩色方法によるものです。


図―9「老圃秋容図」

図―9「老圃秋容図」

図-10「風雨渡船図」

図-10「風雨渡船図」


竹田市に生まれた田能村直入(たのむらちょくにゅう)は9歳にして田能村竹田に師事し、竹田に愛され田能村姓を継ぎました。20代半ばから、京都、大阪を中心に活躍し、幕末明治期を代表する南画家として知られました。

田能村直入(1814~1907)竹田市に生まれる。田能村竹田に師事。京都、大阪を中心に活躍。幕末明治期を代表する南画家。1880年京都府画学校の設立に尽力。1896年日本南画協会を設立。


図-11  田能村直入肖像

図-11  田能村直入肖像


竹田(ちくでん)や中国古画を深く学び、堅実な描写力を身に付けた直入は、新しい時代の中で、やがて独自の画世界を築き上げていきます。指導者としても優れた業績を残し、1880年には京都府画学校の設立に尽力し、校長を務めました。1896年日本南画協会を設立し、南画の復興と後進の指導に努めました。


図-12  四季山水図  春図

図-12  四季山水図  春図

図-13  四季山水図  秋図

図-13  四季山水図  秋図


近現代日本画


大分の近代日本画は、東京美術学校で学び大分中学の教師となった松本古村(まつもとこそん)、京都市立絵画専門学校等で学んだ、高倉観崖(たかくらかんがい)、牧皎堂(まきこうどう)ら先駆的な画家たちによって、先鞭が付けられました。その後、福田平八郎、髙山辰雄など我が国を代表する日本画家が登場します。


大分市に生まれた福田平八郎はそうした日本画家の中でも、いちはやく日本画の近代化を推進しました。福田平八郎は、京都市立絵画専門学校で学び、その後京都画壇で活躍しました。

福田平八郎(1892~1974)。大分市王子町に生まれる。京都市立絵画専門学校卒。1961年
文化勲章受章。第1号大分市名誉市民。


図-14  福田平八郎肖像

図-14  福田平八郎肖像


平八郎といえば鯉が代表作で、数多く描いています。この作品は鯉の胴体がやや太めの寸胴にちかい。どっしりとした形で描かれています。鱗の数は少なくパターン化されています。この時期には写実的な「鯉」からの脱却が図られ、新たな表現への試みが感じられます。


図-15 福田平八郎  鯉 1943年頃

図-15 福田平八郎  鯉 1943年頃


「紅葉と虹」という作品です。竜安寺山内(りょうあんじさんない)の、紅葉を描いたものです。空気が澄み渡り、色彩がひときわ鮮やかになった際の印象、単純化された形と純度の高い色彩により、平面的、装飾的に、生き生きと描き出されています。


図-16 福田平八郎 『紅葉と虹』 1947年

図-16 福田平八郎 『紅葉と虹』 1947年


平八郎の代表作の一つ「漣」(さざなみ)です。釣りが好きな平八郎が琵琶湖(びわこ)で釣りをしていた時、微風にそよぐ湖面にさざめきを銀地の画面いっぱいに描き、水と光が織り成す瞬時の光景を見事に表わしました。この作品は、写生から出発した平八郎が純粋に画面を構成した一つの到達点だといえます。


図-17  福田平八郎 漣 1932年 第13回帝展 大阪市立近代美術館蔵

図-17  福田平八郎 漣 1932年 第13回帝展 大阪市立近代美術館蔵


これも代表作の「雨」です。熱く焼けた屋根瓦にポツリポツリと落ちる雨跡。日常的な情景の中に見出した自然の作り出す美しい光景を表わした斬新さで、日本画の新たな可能性を問いかけた作品です。


図-18  雨 1953年 第9回日展 東京国立近代美術館蔵

図-18  雨 1953年 第9回日展 東京国立近代美術館蔵


髙山辰雄(1912~2007)大分市中央町に生まれる。東京美術学校首席卒。東山魁夷、杉山寧とともに日展三山と呼ばれた。1982年文化勲章受章。第4代大分市名誉市民。


図-19  髙山辰雄肖像

図-19  髙山辰雄肖像


東京美術学校在籍中、別府八湯の一つ、柴石温泉(しばせき)に取材したもので、帝展初入選の記念碑的作品です。渓流(けいりゅう)で湯浴みする二人の若い裸婦が描かれています。前景には、草むらが丹念に描かれ、花鳥画の伝統技法を踏まえています。


図-20 髙山辰雄 湯泉 1934年 第15回帝展

図-20 髙山辰雄 湯泉 1934年 第15回帝展


髙山辰雄は「少女」というタイトルの作品をいくつか残しています。濃淡大小さまざまに描かれた輪郭線と深い色彩は、たった1本の筆によって生み出されています。髙山が永い年月を費やし体得した高い精神性と卓越した技術力が相俟(あいま)って、生まれた作品だといえます。人物を優しい眼差しと深い愛情を持って描く画家、髙山辰雄の代表的な人物作品のひとつといえるでしょう。


図-21  少女 1979年 第11回改組日展

図-21  少女 1979年 第11回改組日展


晩年の代表作の一つです。金色の光り輝く世界の中で、連れ添うように羽ばたく鳳凰(ほうおう)が描(か)かれています。その荘厳(そうごん)かつ雄大な姿に、鑑賞者はしばしの間言葉を失ってしまいます。本作品は、髙山辰雄のライフワークとも呼べる第三回の日月星辰(じつげつせいしん)展に出品したものです。


図-22  雲煙に飛翔 2001年 第3回日月星辰展

図-22  雲煙に飛翔 2001年 第3回日月星辰展


岩澤重夫(1927~2009)日田市に生まれる。京都市立美術専門学校卒。堂本印象に師事。2009年文化功労者。


図-23  岩澤重夫肖像

図-23  岩澤重夫肖像


「郷」(さと)という作品です。岩澤重夫が生まれ育った日田からほどちかい「耶馬渓(やばけい)」を描いています。岩肌の材質感や樹木の克明な表現にただならぬ描写力を感じます。長い間どうしても思うように描けず、年齢を重ねることによってようやく、四季の移り変わりや時間の流れを心の眼で受けとめて描けるようになったと言います。


図-24 郷 1987年 第19回改組日展 耶馬溪

図-24 郷 1987年 第19回改組日展 耶馬溪


由布岳を描いた「輝やく峰」という作品です。雪を戴(いただ)いた由布岳が、朝日を浴びて輝いています。この作品は、湯布院の盆地から、由布山を望んで描かれました。多年にわたって大自然に向き合い、風景画を追究してきた作者の、穏やかさの中にも厳しさをかねそなえた重厚な作品です。


図-25 輝やく峰 1998年 第30回改組日展 由布岳

図-25 輝やく峰 1998年 第30回改組日展 由布岳


いかがでしたでしょうか?今回は豊後南画、近現代日本画の分野でご覧いただきました。それも、ほんのさわりです。もしもっと、見たい、知りたいと思われる方は是非大分市美術館のコレクション展をご覧いただきたいと思います。3100点以上のコレクションがあり、年間を通して展示替えしながら公開いたしております。大分県の美術はその他にも、洋画、彫刻、工芸(特に竹工芸)、現代美術、建築など様々な分野で素晴らしい人材を輩出しています。

また、機会がありましたらその他の分野の美術についてもお話しできれば幸いです。ありがとうございました。


閉会点鐘



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