今週の例会


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2720 Japan O.K. ロータリーEクラブではFAXでも受け付けております。
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開会点鐘・歌の斉唱





会長の時間:ロータリーの友5月6月合併号について


通常であれば、毎月発行される「ロータリーの友」につき、コロナウイルス感染予防対策の影響で5月号の発行が困難となり5月号・6月号合併発行となっています。今週の例会が開始される2020年6月1日時点で、当該合併号が発行され皆さんも「ロータリーの友 電子版」(https://www.rotary-no-tomo.jp/digital/)で閲覧可能となるかと思います。
 今回は、5・6月号横組み巻頭に掲載されるRI会長メッセージ(THE ROTARIAN 5月号から)につきご紹介したいと思います。


ロータリアンとローターアクター、ロータリー家族の皆さん

 「適応力を高める」。これは新しいロータリー行動計画で挙げられた目標の一つです。今年はまさにこの能力が試される年となっているのではないでしょうか。
 3月に私は妻のゲイと共にジンバブエ、トルコ、他 8 カ国を 1 カ月かけて訪問する予定でした。ジンバブエでの医療プログラムと、ロンドンでのコモンウェルス・ウイークの活動に参加した後、11 日目にスイスとリヒテンシュタインに向かう予定でした。

ロンドンで、パキスタン大使館の夕食会に出席した際に、旅程通り移動をすることは難しいだろうと言われました。そこで、チューリヒへは向かわず、エバンストンの国際ロータリー(RI)本部に戻りました。
3 月上旬、世界中で新型コロナウイルスの問題が深刻になっていきました。

現地当局の助言に従い、パリとローマで開かれる予定だった国連会長主催会議を中止しました。ほどなくして世界保健機関(WHO)が世界的なパンデミック(感染爆発)を宣言。ロータリーは重要な決断をするに当たって当局と協議しました。全ての地区とクラブに、今後方針が変更されるまで対面での例会を控え、オンラインで会合を実施するように通知しました。
 迅速に対応してくださっている地区とクラブに感謝します。

RI理事会は初のオンライン会合を開き、2020 年国際大会の実施を中止するという何よりも難しい決定を下しました。出席を計画していた 2万人を超える参加者の皆さまと同様、私も非常に残念に思います。参加者とご家族、友人、同僚、そしてホノルル市民の健康と安全を守るために下した決定です。これは正しい決断だったと信じています。
最高の国際大会になるはずだったホノルル国際大会を企画してくれた2020 年ホノルル国際大会委員会、ホスト組織委員会、2020 ホノルル国際大会推進委員会に感謝します。皆、この大会のために尽力してくださいました。

5月号の『The Rotarian』は国際大会中止の決定が下される中でリリースされましたが、他にも多くのロータリー全体に関わる決定が次々と議論されています。『The Rotarian』誌やロータリーの地域雑誌、そしてソーシャルメディアで今後発信される続報をお待ちください。

今年度の初めに、新しい行動計画が全てのロータリアンとローターアクターにとって重要であることをお伝えしましたが、今、即時的にそれらの行動計画を実行に移しています。それには、国際大会のような経験をバーチャルなイベントとして開催する可能性も含まれます。詳細は近いうちにお伝えできると思います。

世界が大きく変化する中、ロータリーも共に変化しなければなりません。私たちに適応力と強さがあれば、私たちを導いてくれることでしょう。世界は今まで以上にロータリーのリーダーシップを必要としています。

まさに、「ロータリーは世界をつなぐ」のです。

皆さまご自愛ください。

MARK DANIEL MALONEY
2019−20年度 国際ロータリー(RI)会長

(令和2年5・6月号 ロータリーの友 横組3ページ)


いかがだったでしょうか?

上記メッセージの「全ての地区とクラブに、今後方針が変更されるまで対面での例会を控え、オンラインで会合を実施するように通知しました。」にもあるとおり、現在、我がクラブが原則としている「オンライン例会」に大きくスポットライトが当てられております。
多くのクラブメンバーのご尽力により、まさに「世界に胸を張れる」充実した例会内容であることにクラブ会長として誇りを感じるとともに尽力いただいている会員各位に深く感謝申し上げます。
クラブとしてZOOMのプロアカウント(複数名会合を時間制限なく企画できるアカウント)を確保しておりますので、委員会会合などの必要に応じて積極的にご活用いただければ幸いです。

ロータリーを 学び 好きになり 楽しもうではありませんか!

会長の時間を終わります。

2720JapanO.K.ロータリーEクラブ
会長 早水琢也


出席報告


例会 第38回【通算第137回】 2020年5月25日正午~6月1日正午(出席数・出席率 6月1日
正午)


会員数 出席義務者 出席数 出席率
59 59 54 91.53%

例会 第37回【通算第136回】 2020年5月18日正午~5月25日正午(出席数・出席率 5月25日
正午)


会員数 出席義務者 出席数 出席率
59 59 54 91.53%

幹事報告


幹事報告
(1)来信紹介
(2)各種行事のご案内
(3)その他
(4)理事会報告


《来信紹介》


《日本事務局より「事務所業務再開および業務時間変更」の件》
 日本事務局「事務所業務再開および業務時間変更」のお知らせ


《各種行事のご案内》


*現在新型コロナウイルスの影響のため、各種行事は中止もしくは延期になっておりますが、6月1日現在の今年度の当地区のスケジュールは以下の通りとなります。

《地区研修・協議会(オンライン開催)》
 日 時…6月21日(日)
 場 所…オンライン内
 対象者…次年度役員(会長、幹事、各委員長他)
 期 限…6月10日(水)
 オンライン地区研修・協議会のご案内

《大分第4グループ 新年度会長・幹事会》
 日 時…6月16日(火)18:30~
 場 所…ホテル日航大分オアシスタワー
 出席者…前田雅史会長エレクト

《その他》

《請求書の件》
 事務局より、今年度最終の請求書を送付させて頂いておりますので決算月のため、6月末までにお振込みをお願い致します。また、前期分が未入金の方も若干名おりますので併せてお願い致します。


《理事会報告》


《新入会員のご入会の件》
 新入会員候補者について、1名の候補者につき理事の過半数による承認をいただいております。
 メールでも通達しますが、会員各位への詳細通知の上、正式入会の段取りとなります事、改めて報告いたします。

                                    幹事 久保田 努



<サポーターの地区別・クラブ別人数>


【お礼】
2020年5月31日現在、総数56名のクラブ外ロータリアンの皆様に「サポーター」となっていただいています。
心より感謝申し上げます。

【サポーター制度について】
当クラブにはサポーター制度があり、サポーターを随時募集中です。
サポーターの会費は年間(6月末までの年度毎)¥10,000(税込み)で、サポーターの方にはメークアップ証明書を無料で発行致します。
サポーターご希望の方は、「サポーターお申し込みフォーム」ページより、お手続きをお願いいたします。

会員各位におかれましては、お知り合いのロータリアンに制度をご案内いただき、おひとりでも多くの方にサポーターとなっていただき、当クラブ運営に参画いただければと存じます。

【サポーター数】
(2019~2020年度)2020年5月31日現在 55名
(2020~2021年度)     〃      1名  合計56名
 


他地区計(3名)


地区 クラブ名 人数
2590 横浜鶴見北 1
2700 久留米 1
----- その他 1

2720地区計(53名)


                     
地区 クラブ名 人数
2720 熊本
2720 熊本東
2720 熊本城東 3
2720 熊本南 1
2720 熊本西南 2
2720 熊本西稜 1
2720 人吉 1
2720 中津 10
2720 日田
2720 宇佐2001
2720 別府 1
2720 大分
2720 大分臨海
2720 大分南
2720 大分中央
2720 大分1985 6
2720 大分城西
2720 大分キャピタル
2720 津久見

※ 今月のお祝い ※


会員誕生日を紹介していますので、会員専用ページにてご確認ください。
(6月のお祝いページにて掲載しています)
https://ok2720eclub.jp/member/


今週のスマイルボックス


♡ 阿部 誠 様(大分東RC)  1口
上記の方からメークアップに際してのスマイルを頂戴しました。大変ありがとうございます(^^)今後とも何卒宜しくお願いし申し上げます!
2720Japan O.K.ロータリーEクラブ会長 早水琢也

♡ 稙田 惠秀 会員   5口
松田さんの提案で、ロータリアンの皆さんで、霊山寺の庭園作業で日々美化されてきましたので、感謝をこめて、スマイル 5口いたします。

♡ 宮迫 賢太郎 会員  1口
弊社会長で私の父でもある宮迫忠三が胃癌手術を無事終えて、また健康な生活に戻れる事に感謝してスマイル1口いたします。


宮迫忠三 氏


ゲスト卓話:「子ども最優先」をつらぬいて・・・・・



甲斐 英幸 氏
(元宮崎県児童相談所職員・特定非営利活動法人子ども虐待防止みやざきの会 会長)


2720 Japan O.K.ロータリーEクラブのみなさま、初めまして。
特定非営利活動法人子ども虐待防止みやざきの会・会長の甲斐 英幸と申します。

本日は私が携わることに関してお話いたします。
よろしくお願いします。


プロフィール


1979年に宮崎県庁に入庁。生活保護や地域振興などを担当したが、「子どもに関わる仕事がしたい」と希望し、1997年に児童相談所(児相)に配属される。ここで児童虐待の環境を目の当たりにし、虐待を受ける児童たちに向き合う。2001年、虐待問題に取り組む県庁初のNPO法人「子ども虐待防止みやざきの会」を設立、職場外でもボランティアで被害者支援に尽力する。


20年早かったイクメンが虐待に気づいてしまった


1956年、大分県に隣接する宮崎県の高千穂町岩戸に生まれる。思春期に地元の土呂久地区の亜ヒ酸公害が明るみになり、人権意識に目覚め、学業そっちのけで図書館で新聞を読みあさる。法学部で学ぶために宮崎を離れたが、県庁就職のため帰宮。共同保育からスタートし県内で初めての公設学童保育設立にこぎつけるなど、20年早かったイクメンとしての経験から、希望して児童相談所などで子どもと家族に関わる仕事に携わった。

児童相談所で、「叩かれる子ども」、「殺される子ども」、「性の対象にされる子ども」、「誰からもかまってもらえない子ども」の存在を知った私は「子どもの受ける虐待」に無知だった自分を恥じた。子どもの置かれた現状を知らないまま、「先生」と呼ばれることに耐えられなかった。全国にも虐待のことを教えてくれる人はほとんどいなかったので、虐待の勉強会を呼びかけ、2001年に法人化し、電話やメールによる相談を受け、学習会を開き、児童発達支援や放課後等デイサービス事業を通じて子育て支援を行っている。


安定した公務員生活を捨てる決意


15年ほど公務員としての仕事とNPOの活動の二足の草鞋を履いて虐待と家族支援に関わった。虐待の加害者を処罰するために、被害児に負担をかけずに事実を聞き取り、証拠とすることが欧米で制度化されているが、その手法を教えるアメリカの司法面接研修団体の講師資格を得るなど、私の社会的役割は増え、宮崎県庁職員の推薦による表彰制度の初代受彰者の一人に選んでいただいた。

しかし、残念ながら、日本の子どもたちを取り巻く環境には大きな変化は見られなかった。虐待を防止することを目的とする法律ができたのに、通告は増えたのに、性虐待を受けた子どもの傷ついた心は理解されず、振り絞るようなSOSサインは「非行行動」と誤解されてケアはほとんどなされない。一方では虐待をしてしまうところまで追い込まれた親たちも理解されず、周囲のサポートを受けるどころか非難ばかりを受け続けている。この現状を放置していたら、虐待が減るどころか、増える一方ではないか。安穏と公務員生活を送ることへの葛藤が生じ、体を張って「子ども最優先」のアピールのために走って日本一周するというチャレンジをすることにし、そのため2013年、55歳で早期退職することを決意した。

仕事を辞めて無収入になることの意味が分かるかと、先輩たちから涙の出そうなお叱りを受けた。しかし、進学の機会を奪われ、就職できない子どもたちを思えば、それまで公務員として生活させていただいただけでも十分すぎるほど。幸い、配偶者や娘たちも理解してくれて、後押しをしてくれた。


運動と縁のなかった中年が気きまぐれに走ってみた



走って日本一周すると公表すると、よほど走ることが好きなのかと聞かれたが、私は中学で駅伝部に所属して以降、50歳までは運動の機会を持たなかった。赴任した児童相談所に隣接して市の陸上競技場があったので、気まぐれに走ろうとしたところ、50mを走ることもままならない体力に衝撃を受け、通勤前に1時間走るという生活を始めた。5時に起きて走りシャワーを浴びて、1時間のマイカー通勤が日課になった。3か月後には40km走ることができるようになり、さらに3か月後には一人きりのマラソンで4時間を切った。ただ、年齢的にそれ以上のタイムを求めることは体を痛めると知り、坂道や山を走ってみた。完全空腹状態でどれだけ長い距離を走れるだろうかと挑戦してみた。60km走ることができた。

この経験が、実際に日本一周チャレンジをする際の支えになった。でなければ、山登りと錯覚するような起伏の多い海岸線を走ることはできなかったし、平均して30km以上の距離を8か月にわたって、炎天下、雨の中を走り続けることはできなかった。


全国を走って分かったこと


「虐待を受けた子どもの痛みと虐待をせざるを得なかった親の悲しみを背負って走ります」

スタート時に、そう宣言したものの、いざ日本一周のマラソンに臨んでみると、さすがに楽なことばかりではなかった。路上の猿の群れに脅え、豪雨に打たれ、灼熱の太陽にあぶられ、すぐ横をスピードを落とさず通過し泥水をかけていく車に怒り、歩道の無い道路に神経が消耗し、いっそのこと自分をはねてくれたらこれ以上苦しい思いをせずにすむのにと弱気になり、そう思ってしまう弱い惨めな自分に腹が立った。

そんな時、虐待に苦しむ子どもたちや子どもに辛くあたっては悲しい思いをしている親のことを考え、情けなくて、情けなくて、とめどなく涙がこぼれた。自分は何の役にも立たないちっぽけで頼りない存在だと落ち込んだ。こんなことをして何になるのか、この苦しみを乗り越えたら人の役に立てるほど強くなれるのか。様々な思いが頭を巡り、答えが出ないまま日本を一周して、スタートした宮崎県庁に帰ってきた。


ゴールではなく支援のスタート



日本一周マラソンの経過地の行政や民間団体の各地の方に講演会やランニングイベントを開いてもらい、更にはSNSを通して顔も知らない方々からアドバイスや激励をいただいた。宮崎県庁のゴールイベントには、知事や議員や職員や知人、メディアが迎えてくださった。世の中には甘えることを許されない子どもがいるという現実を知って驚き、何かをしなければと虐待防止の活動を始めたのに、結局、全国の多くの方からご厚意をいただくことになった。

「仕事を投げうって、自分の体を張って」って意気込んでみたところで、所詮一人の力では何も出来ず、誰かの力をお借りしないといけない、人は社会的動物だという思えば当たり前のことに気づかされた。この上は、今まで以上に、自分のやり方で、自分の出来る方法で子どもや家族のために力を尽くすしかないと決意し、ゴールイベントで「これはゴールではなく更なる虐待防止の取り組みへのスタートです」と挨拶した。

そして、日本一周マラソンを終えて私は発達障害の子どもたちの支援を始めた。「障害を抱える子どもが虐待を受ける可能性は健常の子どもの3.4倍以上高い」と、世界の統計は教えている。発達障害の人たちのコミュニケーションの困難さは無用な対人トラブルを引き起こす危険があり、それは接触時間の長い家族であれば更に高まるだろう。私はそのような子どもたちに安心・安全で楽しい環境を提供し、対人トラブルを避けるためのソーシャルスキルを教え、人権と個性を尊重しつつ生活能力を高めるお手伝いをしたいと、自宅を使って未就学の子どもたちから高校生までの通所支援施設を運営している。新たに研修を受けて私の肩書きには、「相談支援専門員」と「児童発達支援管理責任者」が加わった。

「営業の自由と人権」とを学問として学び、生活保護や児童相談のケースワーカーとして働き、虐待防止のNPOを立ち上げ、親として学童保育所をつくった私だからこそ、集大成としてできることがあるのだと思っている。国の最低基準では10人の子どもに2人のスタッフが必要とされる。ほぼ1対1の丁寧な関わりを理想とする私たちは毎月赤字を出し続けることになるが、それこそが、子どもや保護者やスタッフに寄り添うという、同業者が真似できない私たちの存在意義だと考えている。



最後に 虐待のことも知ってください


ここから先は、今までの自分自身を紹介する文章とは違うことを明確にするため、文体を変えますのでご了承ください。虐待の一般的な説明は行政でも説明できますので、ここではあまり知られていないことをお伝えしようと思います。


1 日本の虐待は増えていると思われているが、本当なのかは誰も知らない


一般的には、日本での子どもへの虐待は増えていると説明され、理解されています。しかし、これを明解に説明できる人はいません。何故なら、家庭という密室で発生している子どもへの虐待の実数を把握するのが困難だからです。児童相談所が毎年発表する数字を見る限り増えている、と思っている方がほとんどでしょう。ところが、児童相談所の数字は虐待の傾向を把握するのには役に立つかもしれませんが、科学的検証には役に立たないものなのです。その理由としては、次のようなことが挙げられます。

① 児童相談所が虐待対応しないとカウントされない
児童相談所が公表する数字は、(住民、学校、保育所や警察など)からの通告(相談)を受け(受理し)て、児童福祉司や児童心理司が被害を受けたと思われる子どもや通告者、さらには加害者とされる人などへの調査を行って、結果的に虐待と認定した数字、という大前提があります。
私たちが叩かれている子どもを見つけて相談しても、児童相談所が受理しなかったり、調査をしなかったら、数字として計上されないのです。かつて児童相談所で働いていた頃に、同僚が学校からの電話に、「怪我をしていないのだったら、親のしつけでしょう。虐待ではありません」と答えるのを聞いて立腹していました。おそらく全国の児童相談所で最近まで見られたであろう対応です。2019年に児童虐待防止法の改正により「親権者は児童のしつけに際して体罰を加えてはならない」とされましたので、流石に現在は違うと信じたいのですが、学校や保育所などで、「児童相談所が対応してくれない」という話は頻繁に耳にします。


② 「虐待」のカテゴリーが拡大されている
何を「虐待」とするかの基準が変わっているので、過去の数字と比較するのは無理なのです。2000年に児童虐待防止法が成立する前は、日本には児童虐待の定義がありません。同じ児童相談所で働く職員の間ですらも、何を虐待と捉えるかは異なっていました。法律制定の前後で「児童虐待」の数字を比較することは無意味なのです。

更に2004年に児童虐待防止法が改正され、子どもが直接暴力を受けなくてもDVの目撃も心理的虐待とし、母親の恋人などや兄弟など保護者以外の同居人からの虐待を保護者のネグレクトとするなど、「虐待」の対象を拡大しました。このような改正は、困っている子どもたちを早く見つけ出すという意味で子どもたちのために良い改正なのですが、これを境に数字の正確な比較はできなくなったのです。実際、この頃の全国の統計では、身体的虐待が最も多く、次いでネグレクト、心理的虐待、性的虐待の順でした。ところが、DVに対応した警察からの通告が増えたことにより、現在では心理的虐待が圧倒的に増加しました。


③ 虐待通告を受ける窓口が拡大された
2004年の児童虐待防止法改正では、専ら児童相談所が虐待に対応していたものを、市町村が第一義的な通告窓口としました。DVの窓口の警察と合わせて三つの公的な相談窓口が存在することになったのです。米国ではどの窓口が受けても他の機関に情報を提供するクロスレポートが制度化されていますので数字の信憑性がありますが、日本では組織間の情報提供の仕組みがありませんので、児童相談所、市町村、警察、それぞれが発表する児童虐待相談件数がどの程度重なりあっているのか把握できないのが現状です。


2 日本の子どもはどのように被害を受けてきたか


子どもが家庭内で被害にあうことは昔からありました。日本では、育てられない子どもを殺すことは当たり前のように行われていたようです。「間引き」という表現もされますが、「子返し、押し返し」などと呼ぶのが内容を正しく伝えるようです。避妊や人工妊娠中絶などなかった時代に一人の女性が一生のうちに何人の子どもを産んだのか、「産めよ、殖やせよ」という1941年の「人口政策確立要綱」に基づいて多くの子どもが産まれた昭和初期の状況を見るだけでも明らかです。「一家庭に平均5児を 一億目指し大和民族の進軍」だったそうですが、私の父母はいずれも6人きょうだいです。ところが、農業の生産性が低く公衆衛生の整わない江戸時代以前、6人もの子どもを育て上げるのは困難でした。やむなく、性別や障害などの理由で必要とされない子どもは授けてくださった神様に「お返し」をするのです。「7歳までは神のうち」とされていたので、7歳まで生き延びた子どもは氏神様にお参りをして、正式に社会の一員として受け入れられることになりました。

1562年、戦国時代末期にキリスト教の一派イエズス会の宣教師のとして来日したルイス・フロイスは、長崎で没するまでの三〇数年間に多くの書簡を本国にレポートしています。「日欧文化比較」として読むことができます。その中で、「ヨーロッパでは普通鞭で打って息子を懲罰する。日本ではそういう事は滅多に行われていない」と書く一方、「ヨーロッパでは嬰児が生まれてから殺されるということは滅多に、というよりはほとんど全くない。日本の女性は、育てていくことができないと思うと、みんな喉の上に足を乗せて殺してしまう」と書いています。選ばれて残った子どもと神様に返された子どもの姿がそこにあります。

明治と時代が変わって刑法が制定され、我が子を殺すことも殺人として罰せられるようになり、堕胎も禁止されました。しかし、五木の子守唄や今も世界で放送されているテレビの朝ドラの「おしん」で描かれているように、小学教育も受けられずに働き手として売られる子どもは昭和の半ばまで珍しいことではありません。天草から東南アジアや遠くはヨーロッパに性奴隷として船積みされた「カラユキさん」の存在は九州に住む私たちにとっては忘れてはいけません。

このような話は過去のこととして済ませるわけにはいきません。過去を知らずに現在を考えることはできません。現行憲法下で基本的人権が尊重されているはずですが、そうとは言い切れない現状もあります。パターナリズムという概念のもとに、相変わらず子どもたちの人権は制限を受けています。懲戒権という民法上の規定により「しつけという名の暴力」が正当化されています。2011年の民法改正の際に随分と論議されましたが削除されることはなく、2019年の児童虐待防止法の改正の際に2年ほどかけて検討することにされました。さて、どうなることでしょう。

私は「昔は子どもは大事にされてきた。今の親は情けない」という論には与しません。明らかに昔の子供よりも今の子どものほうが守られています。守る人たちが増えています。


3 虐待の発生のメカニズム


虐待がどのように発生するのか科学的に検証したのは米国のケンプ医師です。ナチズムの勃興と共に米国に亡命したケンプは、1962年に、「被殴打児症候群( Battered Child Syndrome)」を報告し、1978年に虐待の成立要件として4つを提示しました。

① 親の問題=虐待する親は、身体的あるいは情緒的不安定がある
マタニティーブルーズや産後うつの国内での発生割合も分析されていませんが、地域統計などから、それぞれ50%以上と20%程度とみられています。身体や精神の疾患がない母親でも一時的にせよ、半数程度の母親が該当することになります。

② 親子関係の障害=親からみて子どもが愛せない、失望的に思われる
子どもが愛せない理由は残念なことに幾らでも挙げることができます。希望した性別ではなかった、妊娠させて逃げた男に似ている、嫌いな自分を見せられるようだ、障害がある、多胎児で手がかかる、などなど。逆子だった我が子を悪魔だと思ったと話した母親もいました。未熟児だったり病弱だったりで生後しばらく分離を余儀なくされたとかの理由で愛着形成ができなかった人もいました。
 愛着の問題はとても深刻な影響を子どもに残します。反応性愛着障害という問題で日本ではあまり知られていませんが大事な問題です。専門機関とされるところでも発達障害と混同されて診断されることがほとんどで、非行などの問題行動の原因になったり、アルコールやDVの背景にあったりします。脳の発達にも影響を与えるとの報告もあります。ここでは深入りを避けます。

③ 危機の発生=危機が必ず生じる
必ずと言ってよいほど、私たちには何らかの危機が発生します。通常、金銭や経験の蓄積、行政や知人など周囲のサポートなどで克服するのです。ところが、それらが不足すると、危機によるストレスを自分自身や周囲への攻撃によって昇華しようとする人もいます。
 新型コロナウィルスの影響で自粛生活、ステイホームを余儀なくされています。これにより失業や解雇や休業などによる経済的な危機が生じるのみならず、家族と一緒に過ごす時間が増えることによるストレスの高まりやサポートしてくれる人との距離が生じることで人間関係にも危機が生じます。世界的には、WHOがDVの増加に警鐘を鳴らしました。

④ 効果的な救出手段の途絶=危機が生じたときに、援助に有効なライフライン、コミュニケーションラインが途絶している
生活困窮、DV、障害、妊娠、子育て、病気など、上記のそれぞれに対応する行政の窓口は存在しています。ところが、そこに必要とする人がたどり着き、すぐのサポートを受けられるかが問題です。
 新型コロナウィルスの影響で突然の一斉休校の要請がなされた時に、私は驚く以上に強い怒りを感じました。なぜなら、そこには貧困や虐待にさらされている子どもたち(行政が把握している子どもたちは要保護児童と総称されています)への配慮がなかったからです。休校自体が悪いわけではありません。事前にこのような子どもたちを発見し支援している、学校、子育て支援センター、子ども食堂、民生委員、行政などが、登校しない子どもたちをどのように見守っていくのか、調整する暇もなかったことを危惧したのです。
深刻になったと言われるDVと、虐待は通常セットです。大人は警察に電話で助けを求めることができますが、子どもたちは家庭の中で助けを求める手段が無くなってしまったのが深刻です。一部では望まない妊娠の相談が増えているとの報道も有ります。

周囲から見えないところで傷つく子どもたちが、成長するにつれてどのようになっていくのか、嫌というほど見てきました。私たちは、ソーシャルディスタンシングを守りながら、どのような方法で子どもたちを「発見」し、「支援」できるのか、それぞれのやり方で模索していくことが必要です。


4 あまり知られていないこと


① 「虐待」って何だろう
「虐待」があることは児童虐待防止法ができた20年前に比べれば、多くの人たちに知られるようになりました。しかし、まだほとんどの人は、「自分には関係のないこと」と捉えているようです。「虐」という漢字は、虎が襲いかかる様子を象形化したものですので酷い様子を表しています。そこから、「虐待」と聞くと、生命に関わるような悲惨な体罰を想像する人が多いのです。

英語圏では、child abuse & neglectと表記されます。abuseはab+useです。abは否定の接頭辞ですから、本来ではない誤った取り扱いとなります。薬の量や使用法を間違うようなものです。チャイルドアビューズは、ストレスの吐口や性欲の対象とすべきではない子どもに対して暴力や性行動を用いるという行為になるのです。それに対し、neglectはneg+lectです。negも否定の接頭辞。ネガティブのことです。lectは道端に落ちている木切れなどに気付いて拾い上げる行為が語源です。lectしたものを集めたらコレクションになり、それを分類して披露するとレクチャーになります。ネグレクトとは、そこにあるものに注意を向けないこと。子どもをネグレクトするとは、単にご飯を食べさせないとか洋服を着せないとか世話をしないという意味ではありません。子どもの有り様に関心を向けないことです。暑くても寒くても、コロナが流行っていても、友達と会えなくて寂しくても、誰かに相談をしたくても、そんなことにお構いなしという状況をネグレクトと言います。「お金をかけて洋服を着せている、高い食べ物を食べさせている、習い事にいかせている。ネグレクトなんてお金のない人の話でしょう」は誤りなのです。子どもと向き合っていない状況のことをネグレクトというのだと覚えておいてください。

最近、虐待に関心のある人たちはchild abuse & neglectに代わって、マルトリートメントという言葉を使います。mal+treatmentです。malは否定の接頭辞。treatmentはヘアトリートメントでお馴染みですね。取り扱いとか手入れをするの意です。マルトリートメントは、子どもへの良くない、不適切な取り扱いということで、概念が広くなって、困っている子どもたちに焦点を当てることができます。
 このように考えてきたら、「虐待」という漢字を使わない方がいいと思います。カタカナですが、マルトリートメントで統一するのがいいでしょう。

② 特殊な「虐待」
あまり一般的でないお話です。
25年前に「代理によるミュンヒハウゼン症候群」という事例に出会いました。国内はもとより世界的にもとても珍しい虐待の形態であるとの説明を、インターネットで見ました。ミュンヒハウゼンとは、「ほら吹き男爵の冒険」で知られる主人公の名前です。幼少時に何度も読んだ本の主人公が虐待に名付けられているとは驚きました。精神科の世界では詐病の一種としてミュンヒハウゼン症候群と呼ばれていて、その詐病を自分ではなく他人に作り出すので、「代理による」と頭についています。子どもを病気に仕立て上げてかいがいしく世話をする可哀想なお母さんを演出するのです。米国で病室に監視カメラを設置したところ、母親が点滴に異物を混入している場面が録画されたのを見たことがあります。病気ではないので、検査をしても見つからないし、投薬をしても母親の言う病状は一向に改善しません。「ヤブ医者」と毒づきながら母親はドクターショッピングをします。その度に検査を受けさせられ痛い思いをし、学校を休ませられる子どもにとっては迷惑なことですが、殺される子どももいます。初めて知った事例は、長男が死んで、次男が同様の「病気」になり、3番目の子の出産を控えて母親が病院の付き添いを離れて「病気」が消失しました。子どもの便から下剤の成分が検出されて、ことの詳細が明らかになりました。その後、私の勤務中だけで3例を確認しましたので、「まれ」なのではなく「知らない」だけなのだと確信しました。気づこうとしなかったら、気づけない「虐待」なのです。

乳幼児揺さぶり症候群(シェイキング・ベービー・シンドローム)というのがあります。硬膜下血腫、眼底出血、脳実損傷の3つが主な症状です。25年前に担当した事例です。風邪のような症状を心配して外来を受診したところテンカン発作に似た症状があるので公的病院に救急搬送されました。抗癲癇剤を投与しても効果がないので脳の検査をしたところ、硬膜下血腫が認められたのです。さらに検査をすると眼底出血もありました。医師に意見を聞いて専門家にアドバイスをもらい、人為的なものと判断しました。警察に別室で待機してもらい病院に付き添う母親から聞き取りをしました。「ずり這いをして炬燵の足で頭を打った」と母親は最初言いました。生後6か月足らずの乳児です。状況を聞き、不自然さが拭えないためそのまま児童相談所による一時保護に切り替え、施設入所となりました。その子は重度の脳障害により在宅で暮らすことは困難になりました。日本では、抱っこやおんぶでも同様の障害が起こると考える医者がいて、「虐待」として取り扱うことが難しい状況がいまだにあります。親には殺そうとか、障害児にしようとかいう意図はないのが通常です。これは「パープル泣き声」を知ると理解できます。日本では黄昏泣きと呼ばれることもあります。生後6か月くらいまで、理由もなく予測できず、なだめても泣き止まず、とても痛そうに、長時間、それも夕方に泣くというのをそれぞれの英語の頭文字を繋いでパープルと呼びます。これにお母さんが振り回されるのです。オランダで実施された質問票の研究で、赤ちゃんが泣いて困ったときに、「口と鼻を塞ぐ」と答えたのが2%。「叩く」と答えたのが3%。「揺さぶる」と答えたのが5%でした。泣き止まそうとしてお母さんは子どもを揺さぶるのです。その結果、脳の毛細血管が切れ、数時間後に脳内に血液が染み出して脳を圧迫して顔面が蒼白となり異変に気づく。「メカニズムを知らないことにより起こる虐待」であり、「赤ちゃんを揺さぶらないでと知らせることにより防げる虐待」なのです。

性虐待も25年前に知りました。児童相談所で最初に担当した子どもです。男の子と一緒に家出をして警察に保護された女の子でした。3度の一時保護の後、施設にほぼ強制的に入所させました。そこを抜け出して保護された時に、その子が泣きながら身の上を語りました。「10歳の時に祖父にレイプされ、休みの日は家にいたくなかった」。その訴えを誰も信用しませんでした。女性職員は「レイプされた女の子が自分から男に近づくなんてありえない」と言いました。私はわかりませんでした。そうした時に成人女性から電話を受けました。「こちらは児童相談所です」という私に彼女は、「仕事でないと話を聞かないのか」と言いました。その日、勤務後に彼女の自宅を訪ねました。彼氏同席のもと、彼女はテープレコーダーを再生して言いました。「思春期以降、精神的に不安定になり、今も薬が手放せない。あれこれ調べ、原因が幼少時の父から受けた行為にあったと知った。離散状態になっていた父を探し、このテープレコーダーを前に置いて詰問した。お前のしたことは虐待だと認めろと迫った」と。彼女は続けて、「私と同じように家に居られない子どもが街のあちこちにいる。あの子たちのことを思うと夜も眠れない」。それから、同僚から「性虐待を呼ぶフェロモンが出ている」と揶揄されるほど、立て続けに性虐待の事例が続きました。私が特例だったのではないはずです。日本の児童相談所の統計では、20年ほど前までは全体の2%程度でしたが、現在は1%弱になっています。だから、日本には性虐待はないと誤解されています。しかし、2006年の世界保健機関の世界的調査で、おおよそ女性の20%、男性の5―10%が子どもの頃に性被害にあっていると報告されます。表に出ていないだけなのです。そんな不道徳で悲惨なことはありえない、子どもに起って欲しくないと思う人たちは、助けを求められても真摯に受け止めようとしません。嘘をついていると思ってしまいます。それは態度に出ます。子どもはそんな大人を信用しません。「ハイ、嘘をついていました」で終わりです。子どもの被害を聴く側の素質や能力や経験などが必要です。私は、それを米国の研修団体から学びました。法律も制度も違うこの日本で何の意味があるのかとバカにする人もいましたが、今では毎年多くの検察官や医師、警察官、児童相談所職員が私たちの研修を受けています。

③ 誰でも「虐待」をする危険性を持っている
 多くの事例に接していると、「虐待」をする人が異常な人ではなく、どこの家庭でも起こり得るのだとわかってきます。貧困家庭に「虐待」が起こると信じている人がいます。高学歴を得ることができないので貧困から脱却できず貧困と虐待の連鎖が起こっているのだと。確かに経済的な危機は虐待のハイリスクの一つです。しかし、医師が我が子を亡きものにしようとした事例を知っています。公務員や教師を虐待の科で逮捕してもらったことがあります。私たちは、研修の際に、子どもたちが受けている被害を真摯に受け止めるためには、加害者とされる人たちの社会的地位や経済的な状況を配慮しないように伝えます。どんな親を持つ子どもでも被害を受けている可能性があると考えておかないと、子どもを信用することができなくなるのです。


このたびは卓話という貴重な機会をいただき、ありがとうございました。


閉会点鐘



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