財団って難しい⁉~ロータリー財団をもっと身近に~ パートⅠ
「ロータリー財団を、もっと身近に」
― ジェニファー・ジョーンズさんから学んだ「財団」と「ストーリー」の力 ―
先日、神戸で開催されたロータリー財団フォーラムで、RI財団管理委員長のジェニファー・ジョーンズ氏の講演をお聞きしました。憧れのジェニファーさんの語り口は穏やかさと芯の強さを併せ持ち、私の心に深く染み入りました。今回は私がジェニファー・ジョーンズさんから学んだことを、皆さんにもお伝えしたいと思います。
そして今日は、私から一方的に財団について説明するのではなく、皆さんにも少し考えていただきながら進めたいと思います。
まず、皆さんに質問です。
「ロータリー財団」と聞いて、何を思い浮かべますか?
ポリオでしょうか。グローバル補助金でしょうか。寄付でしょうか。平和フェローでしょうか。
あるいは、「財団って、実はあまりよく分からない」という方もいらっしゃるかもしれません。実は、私もそうでした。RLIにも「ロータリー財団について」という研修がすべてのパートにありますが、「財団って難しい・・・」と、なんとなく感じて、つい目線を落としてしまいます。ファシリテーターも、「財団のファシリテーションは財団の部門の方にやって欲しいなぁ」と思う人がほとんどです。
今回、神戸ポートピアホテルで開催されたロータリー財団フォーラム「ジェニファー・ジョーンズさんと語る会」に参加してきました。そこで、現在のロータリー財団管理委員長であるジェニファー・ジョーンズさんのお話を直接伺いました。
そこで初めて気がついたことがあります。私はこれまで、ロータリー研究会や国際大会などで、
「今年のRI会長は誰だろう」
「RI会長はどんな方針を掲げているのだろう」
ということには、かなり注目していました。ところが、「ロータリー財団管理委員長」という役職については、ほとんど意識したことがなかったのです。実は昨年のロータリー研究会では、昨年度のロータリー財団管理委員長だったホルガー・クナーク氏とお話をして、記念写真まで撮っていただいていました。ホルガ―氏は、2020-2021年度のRI会長を務めた方です。写真を見返すと、
「私、すごい方と写真を撮っていたんだ……」
と、今になって思います(笑)。でも、その時の私は、RI会長にばかり注目していて、
「財団管理委員長って、ロータリーの中でどんな役割を担っているんだろう?」
「そもそもロータリー財団って、どんな力を持っているんだろう?」
ということを考えていませんでした。
今回、ジェニファーさんのお話を聞いて、初めてそこに目が向いたのです。
ここで、もう一つ質問です。
「ロータリー財団は、何のためにあるのでしょう?」
少し考えてみてください。ロータリー財団は、皆さんから寄せられた寄付を、世界各地の奉仕活動に役立てています。RIの公式サイトでは、ロータリー財団について、
「ロータリー会員が、人びとの健康状態を改善し、質の高い教育を提供し、環境保護に取り組み、貧困をなくすことを通じて、世界理解、親善、平和を達成できるようにする」
ことを使命としています。そしてロータリーは、クラブ、国際ロータリー、ロータリー財団の3本の柱によって支えられています。
つまり財団は、私たちの奉仕を支える大きなエンジンのような存在なのです。
今回、ジェニファーさんが特に熱く語られたのが、パキスタンでのポリオ根絶活動でした。
ジェニファーさんご自身が現地を訪問し、実際に活動を見て、そこで感じたことを、ご自身の言葉で語ってくださいました。
私は以前、パキスタンでポリオワクチンの投与活動に参加したことがありまので、ジェニファーさんのお話は、私自身の経験とも重なり、とても強く心に残りました。ポリオ根絶という言葉だけを聞くと、世界のどこかで行われている大きな国際事業のように感じます。でも、現地に行ってみると違います。そこにいるのは、「ポリオ患者」という数字ではありません。一人の子どもであり、一つの家族です。そして、その一人ひとりにワクチンを届ける活動を、世界規模で支えているのがロータリーです。
ロータリーは45年以上にわたってポリオ根絶に取り組み、現在、ポリオ常在国はアフガニスタンとパキスタンの2カ国まで減っています。ここまで来たからこそ、「あと少し」を私たちがどう支えるのかが重要になっています。
ここで皆さんに、もう一つ考えていただきたいと思います。
「財団への寄付は、誰のためのものだと思いますか?」
もちろん、世界中の誰かのためです。でも、私は今回のフォーラムを通して、
「自分たちのためでもある」
と思うようになりました。なぜなら、財団があることで、私たち一人ひとりの「何かしたい」という思いを、もっと大きな力に変えることができるからです。一人ではできない。一つのクラブだけでは難しい。でも、世界中のロータリアンが力を合わせる。寄付が集まり、財団を通して補助金となり、実際の奉仕活動となって世界に届けることができます。
例えばグローバル補助金。
例えば平和フェロー。
そしてポリオ根絶。
今回のフォーラムでは、この三つについて素晴らしい事例発表がありました。どれも、
「財団があるからこそ、ここまでできる」
ということを実感させてくれる内容でした。だから私は、財団を「寄付をするところ」ではなく、「私たちの奉仕の思いを、大きな力に変えてくれるところ」と考えたいと思っています。
そして、ジェニファーさんが強調されたことであり、強く心に残ったのが、
「ストーリーを語ること」
でした。
質疑応答の中でジェニファーさんは、
「ロータリアン一人ひとりが、自分の経験や思いを、自分自身の言葉で語ること」
の大切さを強調されました。ここで皆さんに、少し考えていただきたいと思います。
「皆さんがロータリーに入って、一番心に残っている出来事は何ですか?」
大きな事業でなくても構いません。誰かとの出会いでもいい。奉仕活動で見た子どもの笑顔でもいい。初めて参加した国際交流でもいい。
「この人と出会えてよかった」と思ったことでもいい。
あるいは、
「ロータリーに入って、自分自身が変わった」
という経験でもいいと思います。それが、皆さん自身の「ロータリーストーリー」です。
なぜ「ストーリー」が大切なのかというと・・・例えば、
「今年、グローバル補助金事業を実施しました。」
これだけでは、なかなか人の心には届きません。でも、
「この事業で、こんな人に出会いました。」
「この子どもの姿を見て、この活動を続けたいと思いました。」
「最初は参加するつもりがなかったのですが、参加してみたら自分自身が変わりました。」
こうした話なら、聞いている人の心が動きます。人は、数字だけではなかなか動きません。しかし、人の経験や思いには、心を動かされます。だから、ストーリーには力があります。そして、そのストーリーを聞いた人が、
「私もやってみたい」
「私もロータリーに関わってみたい」
と思ってくれたら、新しい仲間が生まれます。つまり、ストーリーを語ることは、ロータリーを広げることなのです。
今、まさに「ストーリー」を募集しています!
ここで、皆さんにぜひお知らせしたいことがあります。前回の例会でピックアップアーティクルにも取り上げられていましたが、
現在、国際ロータリー第1・第2・第3地域の公共イメージ推進事業として、「ストーリーテリングキャンペーン」が開催されています。
応募期間は、
2026年7月1日から11月1日(日)23時59分まで。
ロータリアンだけでなく、ローターアクター、青少年プログラム参加経験者、米山奨学生、ロータリーファミリー、そして奉仕活動の受益者の皆さんも応募できます。
優れたストーリーは、12月のロータリー研究会で表彰される予定です。
大切なのは、上手な文章を書くことではありません。「あなたが何を感じたのか」「なぜ心が動いたのか」「ロータリーで何が変わったのか」それを自分の言葉で伝えることです。SNSで発信することもできます。例会やスマイル報告で話すこともできます。
家族や友人に話すこともできます。そして、ぜひキャンペーンにも応募してみてください。現在、キャンペーンの専用サイトから応募できます。
最後に、皆さんに宿題を一つ出したいと思います。30秒だけ時間を取って、次の問いの答えを一つコメントに書いてみてください。
「私がロータリーで出会った、忘れられない瞬間は?」
あるいは、
「ロータリーに入って、自分が変わったことは?」
どちらでも構いません。
いかがでしょうか。
もしかすると、今思い浮かんだその出来事が、皆さんの「ストーリー」の始まりかもしれません。
今回、ジェニファー・ジョーンズさんのお話を聞いて、私は二つのことを学びました。
一つは、ロータリー財団は、私たちの奉仕の思いを、世界規模の力に変えてくれる存在だということ。
そして、もう一つは、私たち一人ひとりが、自分のロータリーストーリーを語ることが、次の仲間や次の奉仕を生み出す力になるということです。昨年、ホルガーさんと写真を撮っていた時には、財団管理委員長という役職の意味を深く考えていなかった私ですが、今回ジェニファーさんのお話を直接聞いたことで、ロータリー財団の大きな役割を初めて実感することができました。そして、ジェニファーさんの語り口には、会員一人ひとりを包み込むような穏やかさと、揺るぎない芯の強さがありました。
そのジェニファーさんが、
「あなたのストーリーを語ってください」
と私たちに呼びかけている。ならば、私たちも一歩踏み出してみたいと思います。皆さん、
「あなたのロータリーのストーリーは何ですか?」
ぜひ、その物語を誰かに話してみてください。そして、ぜひ今回のストーリーテリングキャンペーンにも応募してみてください。
あなたの何気ない一言が、誰かの心を動かし、その一人が新しい仲間になり、その仲間と一緒に、また新しい奉仕が生まれる。
ロータリーの未来は、私たち一人ひとりのストーリーから始まるのかもしれません。







