帰属意識の文化を育む
帰属意識の文化を育む
近頃、国際ロータリーに新しいキーワードが加わっているのをご存じでしょうか?
それは“DEIB”です。ロータリアンの皆さんは、D=Diversity, E=Equity, I=Inclusion, というのはすでにご存じですよね?特にEquityについては、知博会長が会長の時間でわかりやすく取り上げて下さいました。Bについて、ご存じの方もいらっしゃると思いますが、B=Belongingです。日本語では帰属意識、と訳されます。
では、この言葉はどのような意味を持ち、私たちにとってなぜ大切なのでしょうか。
一般的に belonging とは、「自分はこの場に受け入れられている」「ここに居てもよい」「自分の存在が役に立っている」と感じられる心の状態を指します。単に組織に名前を連ねているだけではなく、その場にいること自体に安心感と喜びを持てること、それが belonging です。学校で友人と励まし合うとき、職場で意見を尊重されるとき、地域で顔を覚えてもらったとき、人は「自分の居場所がある」と感じます。
ロータリーにおける belonging も同じです。たとえば、例会や集まりに出席した際に仲間から笑顔で声を掛けてもらう、近況を気にかけてもらうといった些細なやりとりは「ここにいてよい」という安心感につながります。SNSでのやり取りもそうでしょう。奉仕活動の現場で、自分の小さな働きが感謝されるとき、人は「自分が役に立っている」と実感します。また、クラブ内で新しい役割を任され、それを仲間が支えてくれた経験は、強い帰属意識を生みます。
具体例を挙げると、あるクラブでは、新会員が入会すると必ず先輩会員が一緒に活動する「バディ制度」を導入しています。そのおかげで、新会員は早くからクラブの文化になじみ、「このクラブは自分を大切にしてくれている」と実感するのです。別のクラブでは、例会後に数人ずつ集まって食事を共にすることを続けています。形式張らない交流の中で、互いの人となりを知り、仲間としての絆が深まっていきます。こうした取り組みは、まさに belonging を育てる工夫といえるでしょう。
ロータリーの目的は「奉仕を通じて人びとと世界をより良くすること」にあります。しかし、その出発点は、一人ひとりの会員がクラブの中で「ここが自分の居場所だ」と感じられることです。会員が安心して関わり、互いの存在を認め合うとき、クラブは自然に活気を帯び、奉仕の力を外へと広げていくことができます。
________________________________________
クラブで Belonging を育てるための工夫(例)
• 歓迎の工夫
新会員の紹介時には、単なる形式的な挨拶にとどめず、趣味や関心を共有しやすい場をつくる。
• 「バディ制度」や「メンター制度」
入会直後から、先輩会員が寄り添って活動をサポートする。
• 役割を分担する
例会の司会や奉仕プロジェクトの小さな役割を任せ、達成感と承認を感じてもらう。
• 懇親の時間を持つ
例会後や奉仕活動後に気軽に交流できる時間を設け、互いの人柄を知る。
• 声かけの習慣
出席が減っている会員に「どうしていますか?」と気にかける一言を忘れない。
• 感謝を伝える
活動の後には必ず「ありがとう」を伝え、努力を見える形で認める。
クラブでは、親睦委員会や会員増強委員会が、みんなの「帰属意識」を高めるために、一生懸命考えて下さっています。私自身も、これからもっとみなさまと寄り添えるよう、ともに歩めるよう、努めたいと思います。日本一、世界一、会員同士の仲の良いクラブになれたら嬉しいです。