ロータリーの魅力発見

 なぜ、私たちロータリアンは、ポリオを根絶しないといけないのでしょうか?

 COVID-19、日本ではコロナの方が通り名ですが、コロナが流行した数年前は、ポリオでなく、コロナを根絶すべきだ、という声を上げるロータリアンがいました。いやいや、日本ではがんで死ぬ人の方が多いのだからがんの対策に支援すべきだとか、高齢化社会に向けて、心臓や血管の病気こそ根絶すべきだ、という声も聴きました。

 どう思います?その通りだと思われる方、いらっしゃいませんか?

 なぜ、ポリオなのでしょうか?

 昨年も同じテーマでお話しましたが、今回は切り口を変えて、ポリオ根絶の歴史を振り返ってみます。

 1916年、ポールハリスがロータリーを創設して11年後のことです。ポリオは世界の国々で流行し、アメリカでは6000人がポリオで死亡し、数千人の人が麻痺になる、という時代でした。

 ポリオに罹って呼吸が麻痺した人々の命を救うために鉄の肺が考案されたのが1929年、ポリオのワクチンが開発されたのはさらに遅れて1955年でした。

 日本では、1960年の大流行を受けて、翌年1961年にワクチンが緊急輸入されて接種が進みました。お陰で日本では1980年を最後に、ポリオは発生していません。

 1979年に、RIがフィリピンに600万人分のワクチンを送るプロジェクトを行います。それを受けて、1988年に、世界ポリオ根絶推進活動(Global Polio Eradication Initiative:GPEI)が立ち上がりました。これは、各国政府が主導し、国際ロータリー、世界保健機関(WHO)、米国疾病対策センター(CDC)、ユニセフ、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、Gaviアライアンスの6機関が中心となって推進する官民パートナーシップです。それぞれの団体に役割が与えられています。

 WHOは戦略を担当し、GPEIの管理運営、活動成果のモニタリングを行っています。CDCはウイルス対策を担当してポリオの流行調査やウイルスの種類と感染源の特定を、UNICEFは予防接種を担当してワクチンの購入・分配・現地での接種活動を実施、そしてビル&メリンダ・ゲイツ財団はリソースを担当して多額の寄付と技術面でのリソースの提供を行っています。

 国際ロータリーはアドボカシーを担当しています。会員の持つ事業と専門職、ボランティアのネットワークを生かし、ポリオの認識向上、募金や地域社会の動員、政府や民間への支援の働きかけを実施し、これまでに100万人以上の会員がボランティア活動や募金を通じてポリオ根絶を支援してきました。

 努力の甲斐あって、2023年には、発生者はパキスタンで6名、アフガニスタンで6名、世界でわずか12名という、ほんとうに、あと少し!というところまできたのです。しかし、残念なことに、昨年、パキスタンとアフガニスタンの二国で感染者が増えてしまいました。

「世界でわずかの人しか発生しない病気の根絶に力を入れている」のではなく、これまでの努力の成果でポリオは「世界でわずかの人しか発生しない病気」になったのです。

 ポリオの根絶は、世界中の子どもたちに対してロータリーが行った約束であると言えます。

 さらに、国際ロータリーは、ロータリー章典第40条の中で、ポリオプラスプログラムが成功裏に完了するまでは、いかなる他の組織全体のプロジェクトも検討しない、と謳っています。いわば、根絶に対する誓いです。

「私たちがポリオを根絶したのだ」と誇りを持って言える日がくるように、ともに歩み続けましょう!



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