ロータリーは人生道!~職業奉仕から考えるロータリー~
みなさま、こんにちは。クラブ研修リーダーの植山です。先週末にオンラインで、RI第2590地区職業奉仕委員会委員長 桑原 薫様(横浜港北RC)の職業奉仕に関するお話をお聞きする機会がありました。桑原さんの話をもとに、今回はみなさまと一緒に職業奉仕について考えてみたいと思います。
みなさまは、ロータリーの職業奉仕についてはどんなことを知っていますか?どんなイメージを持っていますか?私自身もそうですが、あらためて問われると、なかなか説明できない、よくわからない、と思われる方が多いのではないでしょうか?
職業奉仕は、vocational serviceを日本語に訳した言葉です。そもそも、この、ロータリーで頻繁に耳にする’service'という言葉のとらえ方に問題があるようです。
本来の‘service’の意味は、役に立つ働き、果たすべき務めを指すそうで、公共の利益のために行われる活動や、宗教的儀式を指す場合もあります。しかし、なぜか日本語で’サービス’となると、無利益で、見返りを求めず、尽くすこと、という意味になっていると言われました。
これらを踏まえて考えると、vocational service とは、「職業的にはたすべき職務や任務をきちんと果たしましょうと奨励すること」、という意味のように思えます。
桑原さんの話によりますと、当時のアメリカは、人をだましたり悪いことをしたりしてでもお金を儲けよう、という風潮が強かったそうです。だからこそ、信頼できる人同士で集まろう、信頼できる人同士で取引をしよう、そうすれば騙されることがないから。という流れができたのは頷けますね。
「良いことをする、というのは誰にでもできるのです。良い人は良いことをしますが、悪い人でも良いことはできるのです。そして、悪い人は悪いことをしない、ということができないのです。」という桑原さんの発想がとても印象的でした。確かに!では、なぜ悪い人が良いことをすることがあるのか。それは、地獄に行かないためだそうです。こう聞くと笑ってしまう人もいるでしょうが、キリスト教の教義では、世界の終末に神様が人の罪を裁き、天国に行って永遠の命を授かる人と地獄に堕ちて永遠の苦しみを課される人とに分けられると信じられています。そこで、現世で犯した罪=悪いことに対する、免罪符として、善行を積んでおこうという考え方だそうです。
一方、免罪符として善行を積むのではなく、そもそも、悪い人ではなく、良い人になりましょう、というのがロータリーの教義です。「良い人になりましょう」、という啓蒙運動こそが、vocational serviceなのです。
日本には茶道、華道、空手道など、「道」がつくものがいくつもありますが、それらは、人をつくり、磨き、育てるものを指します。それでいうと、ロータリーはいわば「人生道」なのです、という桑原さんの言葉が私は胸に残りました。「人生道」であるロータリーの根幹に、「良い人になりましょう」というvocational service考え方があると思えば腑に落ちる気がします。
「では、クラブの職業奉仕としては、いったい何をするのが妥当なのでしょうか?」
と私は質問してみました。
「vocational serviceは、そもそも、社会奉仕活動などの’活動=activity’ではなく、’運動=movement’ととらえるべきです。ですから、クラブ内で啓蒙運動や教化運動を行うための勉強会や卓話を開催するのが、何よりの活動になります。ここで、活動と運動の違いを簡単に説明してみます。ポイ捨てされたごみを拾うのは活動です。ポイ捨てする人をポイ捨てしない人に変えるのが運動なのです。
というのがお答えでした。それを考えると、先日クラブで開催した、「職業奉仕OKEクラブ賞」表彰式は、クラブ内で職業奉仕について考え、身の回りの「良い人」を探して称えるという、まさに職業奉仕の良い実践に繋がる事業だったと思います。
これからもクラブのみなさまと一緒に、「良い人になる」ための学びや「良い人をつくる」ための啓蒙運動を重ねていけたら嬉しいです。
(今回のお話は桑原氏のご了解と内容の確認を頂いた上で掲載しております)